「勃起不全などの性機能障害は男性だけに起こるもの」と思っていませんか?
最近では不妊症の原因のひとつとしてED(勃起障害)に関する情報が増えてきましたが、女性の性機能障害の認知度は高くないため知らない人も多くいます。
女性性機能障害(FSD)とは
セックスで女性側が痛みを感じる、満足が得られないなどの状態を、女性性機能障害(FSD=Female sexual dysfunction)と言います。
発症すれば、生活の質を低下させる恐れがあるだけでなく、セックスレスなどパートナーとの関係に影響を与えてしまうかもしれません。
女性性機能障害(FSD)の種類
FSDは、性行為への関心低下、オルガズム障害、性交痛・挿入困難の3つの種類に分けられます。
➀ 性行為への関心低下
パートナーとの関係性や、家事・育児、仕事など、日常生活のなかで生じたストレスが原因で性欲が減退することがあります。また、ホルモンの分泌量が少ないことや服用している薬が原因で性欲が低下し、FSDを誘発することもあります。
➁ オルガズム障害
オルガズムは性的興奮がピークに達した後におこる、骨盤底筋群のリズミカルな運動のことです。十分な性的刺激や性的興奮を経験しているにも関わらず、オルガズムがない、反応が鈍いなどの症状をオルガズム障害と言い、これがFSDの原因になっていることがあります。
➂ 性交痛・挿入困難
性交痛や膣痙攣(けいれん)などにより挿入ができない場合も、性機能障害に分類されます。閉経に伴うエストロゲンの減少のほか、外陰炎、腟炎、腟粘膜の萎縮、子宮内膜症など婦人科系疾患が原因でおこることが多いようです。
<参考記事>
タンポンが入らない、挿入が痛い。もしかしたら「処女膜強靭症」かもしれません(医師監修)
女性性機能障害(FSD)の原因
女性の性機能障害の原因として、身体的要因と精神的要因の2つが挙げられます。しかし、FSDを抱える女性の多くは、精神的要因が原因になっていると言われています。
主な心理的原因
- 性は「汚らわしいもの」と教えられた
- 親による過干渉
- 性暴力被害・DV
- 中絶・死産
- パートナーとの関係性悪化
- パートナーのED、浮気
- 怖かった、痛かったなどの性体験による負のイメージ
主な身体的原因
- 女性ホルモン不足
- 膀胱炎
- 膣炎・性感染症
- 処女膜強靭症
- 膣痙攣(けいれん)
- 甲状腺機能異常
- 糖尿病
- 薬の副作用
- 腹部の手術による後遺症
女性性機能障害(FSD)の治療法
自力でできる治療法
オーガズム障害が原因である場合は、セルフプレジャーで症状が緩和されることがあります。自分の身体を自分で「開発」すれば、オーガズムを感じやすい身体になるだけでなく、セックスの質を上げることも可能です。
セルフプレジャーに罪悪感を抱いてしまうという人は、小説や漫画、動画などの性的なコンテンツに触れることで「人は元来性的なものである」という事実を受け入れられることもあります。
また、セックスではパートナーの望みを受け入れるだけではなく、自分の心地よさや好みを見つけることが大切です。自分の思いを相手に伝え、コミュニケーションをはかることで悩みを分かち合い、症状が改善することもあります。
原因が分からない、自分で解決できない場合
婦人科や精神科など、性機能障害の専門医の受診をおすすめします。
問診や心理テストなどのカウンセリングで原因の特定が行われるほか、婦人科では身体的原因の可能性を調べるための内診が行われます。
おおよその症状や原因が判明すれば、効果的に治療を進められます。また、症状によっては抗うつ剤や漢方の投与、ホルモン補充、潤滑ゼリーなどが処方されることも。
精神的なものに原因がある場合は、専門医のサポートのもとでパートナーと一緒に訓練を受けることもあります。
セックスは本来楽しく、安全性が保たれた状態であるべきです。
1人で抱え込まず、パートナーや医師に相談してみてください。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。