昨今、メディアで取り上げられることが多い、性犯罪に関するニュース等を見聞きして胸を痛めている人も多いのではないでしょうか。

実際、令和4年3月に内閣府男女共同参画局が発表した「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果」報告書に記載されたデータによると、 若年層(16~24歳)のうち、4人に1人以上(26.4%)が何らかの性暴力被害に遭っています。

性暴力の被害に遭った人を、24時間365日サポートする「ワンストップ支援センター」が各都道府県に存在しているのをご存じですか。

ワンストップ支援センターへの相談件数は、令和元年(41,384件)から令和4年度には63,091件と年々、増え続けています。

もしも被害に遭ったら、心身ともになるべく早くケアすることが大事です。誰にも相談できず悩んでいたとしても、ぜひワンストップ支援センターを頼ってください。

ランドリーボックスでは、こうした被害者の相談窓口となっている24時間365日対応の「ワンストップ支援センター」について、実際にどのようなサポートが受けられるのか調査しました。

連絡先は?

全国共通の無料ダイヤルに電話をすると、発信地の都道府県のワンストップ支援センターにつながります。

全国共通無料ダイヤル

NTTひかり電話以外:#8891 
NTTひかり電話:0120-8891-77

※全国共通無料ダイヤルは、発信地の都道府県のワンストップ支援センターにつながる
※上記電話がつながらない場合の直通ダイヤル:性暴力救援ダイヤルNaNa 03-5577-3899(有料)

ワンストップ支援センターのサポート内容は、連携する民間の支援団体によって多少異なるものの、基本的には共通した内容のサポートが受けられます。

ワンストップ支援センターで相談した被害の内容に応じて、医療機関(産婦人科など)、警察署、法律相談などの連携機関に繋げてもらいます。

東京都総務局人権部 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業について

本人が希望すれば、医療機関や警察署に、支援センターの職員が付き添いサポートします

東京都の場合は、産婦人科協力医療機関を都内全域に133ほど確保しているそうです。

ワンストップ支援センターに電話したらどうなるの?

実際に24時間対応の「ワンストップ支援センター」がどんなサポートをしてくれるのか、東京都総務局、人権施策推進課被害者支援連携担当に、気になることを聞きました。

――窓口に電話したら、どんな話をしたらいいのでしょうか?

支援団体、支援員によって対応の仕方は異なると思いますが、まずは「どうなさいましたか?」から始まって、被害に遭われた方が答えやすいよう、支援員が寄り添った質問をしていくのが基本です。答えられる範囲で被害内容をお話いただけたら、支援員が傾聴いたします。

(編集部より:今回は東京都総務局の担当者に電話取材をしました。実際に電話対応をしている支援団体に詳しい対話の内容を取材することも検討しましたが、相談件数が増えている中、メディアの取材対応よりも被害者の相談を優先すべきと考え、現状はまだ取材を行っていません。今後の追加取材は検討中です)

――具体的にどのようなサポートをしてもらえるのでしょうか。

被害の内容に応じて、警察に被害届を出したり、産婦人科の受診が必要な場合などは医療機関に付き添いのサポートをします。

支援団体が契約している弁護士を紹介した上で、対面での法律相談や、法律事務所に支援員が同行することもできます。

また、精神的ケアとして医療機関への同行支援のほか、東京都の場合はワンストップ支援センターの中で、月に4回ほど専門家によるカウンセリングの機会を設けています。

――サポートを受けるにあたって、お金(費用)はかかるのでしょうか?

医療費助成の制度があるため、被害に遭われた方は産婦人科の受診料、緊急避妊薬(アフターピル)の処方、性感染症の検査などにかかる費用は助成金を受け取れます(上限あり)。都道府県によって助成金の上限は異なります。

弁護士への法律相談は、(東京都の場合)1時間半までは無料で受けられます。支援センターでの、カウンセリング、付き添いサポートなどは無料です。ご本人の交通費のみ、自己負担となります。

(編集部注:助成金の上限、サポート時間などは都道府県によって異なります)

――電話をかける際、加害者や親族に知られてしまうのではないかと気にする人もいると思います。プライバシーは守られるのでしょうか。

もちろん相談内容の秘密は厳守し、プライバシーは守られます。ご本人の同意なしに親御さんに知らせることもありません。

――サポート支援センターに電話をかける際、注意することがあれば教えてください。

証拠採取をする場合は「シャワーを浴びない」ことや、緊急避妊薬は72時間以内に服用するなど、その方のタイミングごとに支援員が適切なサポートをするためにも、被害に遭われてから、できるだけ早くお電話をいただきたいです。

参考:アフターピルの基礎知識はこちらの記事を参考にしてください。 
アフターピル(緊急避妊薬)の基礎知識。効果や入手方法、費用など(医師監修)

――男女問わず、相談にご対応いただけるのでしょうか。

はい。年齢、性別問わず、対応しております。

――例えば、未成年の子どもが被害に遭った際、保護者やご家族などが代理で電話をしても対応いただけるのでしょうか?

はい。代理の方にお電話いただいた場合でも、ご相談を受け付けています。

「恥ずかしくて誰にも言えない」「心配かけたくない」被害者の本音

支援センターへの相談件数が大幅に増えていると、冒頭で紹介しました。

しかし、性交を伴う性暴力被害者の中で、性犯罪・性暴力被害の専用窓口に相談した人は4.2%、性暴力に関するSNS相談(Cure time)に相談した人は1.2%、被害者支援センターに相談した人は2.4%、配偶者暴力相談支援センター/男女共同参画センターに相談した人は1.2%。

それぞれを合計してもわずか1割にも満たないのです。令和4年度にの63,091件という相談件数も、ほんの氷山の一角であることがわかります。

「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果」報告書(内閣府男女共同参画局)

相談しなかった理由として、「恥ずかしくてだれにも言えなかったから(47.1%)」、「誰にも知られたくなかった、心配させたくなかったから(28.7%)」、「相談してもむだだと思ったから(27.6%)」、「誰に相談して良いのかわからなかったから(26.4%)」、自分さえ我慢すれば、なんとかこのままやっていけると思ったから(21.8%)」、「思い出したくなかったから(21.8%)」などが多く回答されています。

「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果」報告書(内閣府男女共同参画局)

こうした理由からもわかるように、性暴力は被害件数がデータとして示されるのはほんの一部であり、想像するよりもずっと身近なところで頻発している犯罪なのです。

 *

今回は、ワンストップ支援センターのサポートについて詳しくお伝えしました。話を聞いてみて、ワンストップ支援センターの支援員は被害に遭われた方に寄り添い、できる限りの適切なサポートが受けられるようにしていること、秘密は厳守していること、費用面での心配も少ないことなどがわかりました。

被害に遭って悩んでいる方の参考に、少しでもなれば幸いです。

ワンストップ支援センター 全国共通無料ダイヤル

NTTひかり電話以外:#8891 
NTTひかり電話:0120-8891-77

※全国共通無料ダイヤルは、発信地の都道府県のワンストップ支援センターにつながる
※上記電話がつながらない場合の直通ダイヤル:性暴力救援ダイヤルNaNa 03-5577-3899(有料)

<SNS相談窓口 Curetime(キュアタイム)>

Curetime https://curetime.jp/
メールでの相談を受け付けているほか、毎日17時〜21時はチャットでも相談できます。電話で話をするのが難しい場合や苦手な方は、まずこちらを利用するのも良いかもしれません。
外国語(10カ国)でのメール相談も対応。

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