男性の育休取得へ向けた法改正など、子育てや出産をとりまく問題を解消しようという動きがある昨今。しかし依然として、産後の女性が直面している悩みや負担は多く残っている。

このほど、産後を起点とした問題(産後うつ、乳児虐待、夫婦不和など)の解決を目指す認定NPO法人マドレボニータが、コロナ禍で出産した女性とそのパートナーを対象にアンケート調査を行い、654名の回答データを『産後白書4』として発表した。

今回は、その中からいくつかの調査結果を紹介したい。

産後の女性は「コミュニケーション」 、パートナーは  「経済」がキーワードに。

画像=特定非営利活動法人マドレボニータ プレスリリース

カップルのそれまでの関係性が、大きく変わるかもしれない出産後の生活。アンケートでは、出産後に離婚を意識した女性も約3割ほどいたという。

関係性をよくするためにはお互いの努力が欠かせないが、アンケートによると、その具体的な方法については、カップルの間で意識のちがいや差があることが明らかになった。

例えば、女性は、「伝える」「話し合う」「パートナー」といったコミュニケーションに関するものを多く挙げたのに対して、パートナー側は「話し合う」のほかに、「資産運用」や「効率化」といった経済に関するワードが多く見られたという。

産後1年未満の約7割が、「1カ月のうちにセックスしていない」と回答

画像=特定非営利活動法人マドレボニータ プレスリリース

パートナーシップの構築において、カップルの意識には違いがあることが明らかになったが、癒しや性的欲求といったさまざまなニーズを満たしてくれるセックスについては、どのような実態が分かったのだろうか。

アンケートでは、568名の回答のうち、出産してから1年に満たない人の約7割が「1カ月のうちにセックスしていない」と回答。

以前、ランドリーボックスで実施した特集「#セックスって必要ですか」でも、出産後、身体的かつ精神的な変化から、「セックスに対して意欲的になれない」という声が聞かれた。

では、『産後白書4』では、産後とセックスに関して具体的にどのような悩みが寄せられたのだろうか。

「会陰部が痛い」「触られたくない」など、産後のセックスで感じた違和感

画像=特定非営利活動法人マドレボニータ発行『産後白書4』

産後のセックスで感じた違和感については、もっとも多かった回答が、肛門と膣口の間にある「会陰部分の痛み」が1位の結果に。2位から4位までは、「そもそもしたくなかった」「子どもが見ているようでイヤだった」「触られることがイヤだった」といった、精神面における違和感がランクインしている。

そのほかにも、産後のスキンシップやセックスについて、「濡れにくい、感じにくい」「体力低下と体重増加で思うように動けなくなっていた」「パートナーとは、“同志”のようになっているため、スキンシップがなくなった」といった回答が寄せられたという。

出産を経験した女性の約8割が「今後もセックスをしたい」と回答

画像=特定非営利活動法人マドレボニータ発行『産後白書4』

しかし、調査では、産後のセックスに関する悩みがある一方で、出産を経験した女性の76%が「今後もパートナーとセックスをしたい」と前向きな考えを示していることが明らかとなった。

心身や生活のリズムが大きく変わる産後。パートナーは、出産後回復期にある女性をサポートし、性生活については二人で相談しながら行っていくことが望ましい。

また、調査では、「カップルが話し合いたいこと」として自由回答を募ったところ、「家計のこと」といった必要不可欠なトピックと同時に、「セックスやデートなど男女関係としてのコミュニケーション」といった回答も寄せられたという。

『産後白書4』の調査概要

  • 調査概要調査方法:ウェブアンケート(無記名)
  • 調査期間:2021年4月1日~10月31日
  • 調査対象:産後1年未満の女性とそのパートナー(産後女性回答者のパートナーのうち、産後女性からの依頼により回答した方)

※本記事の出典:認定NPO法人マドレボニータ発行『産後白書4』

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