ライフスタイルストア「PLAZA」から、オリジナルサニタリーショーツ『SaniBuddy』が9/12(火)に発売された。
「どんなときもあなたのBuddy(=相棒)のような存在になれますように」との想いが込められたサニタリーショーツ『SaniBuddy』。クロッチ部分には、どんな自分にも寄り添ってくれるようなメッセージが刻まれている。
生理のある日も「これがいい!」と選びたくなるような遊び心溢れる『SaniBuddy』のプレス発表会には、臨床心理士・みたらし加奈さんが登壇。
生理や自分の体、フェムテックなどに関するアンケートをもとに、パネルディスカッションも行われたプレス発表会の様子をお届けします。
遊び心溢れる3種のサニタリーショーツ
「現代を生きるあらゆる世代の女性たちがどんな瞬間でも自分らしく過ごしてもらいたい」というメッセージをもとに立ち上げられたPLAZAのプロジェクト「Nice to meet me!」。
第1弾は、オーガニック生理用ナプキン「The Week」が2022年に発売された。第2弾となる今回はプ、サニタリーショーツ「SaniBuddy」が登場した。
この「SaniBuddy」は、PLAZAの社内モニターメンバーから寄せられた声を反映したデザインになっている
社内モニターの調査結果では、サニタリーショーツの使用率は約8割だが、「かわいいデザインの物がない」「お気に入りのショーツに出会えていない」というデザインに対する意見が多かったという。
「SaniBuddy」では、全3種類のデザインを提案。クロッチ部分には、自分だけにそっと優しく囁いてくれるようなメッセージが施されている。
「SaniBuddy」の開発者であるプラザスタイルカンパニーの事業戦略本部、そして「Nice to meet me!」のプロジェクトリーダーを務める中村優希さんから、それぞれのデザインのポイントが紹介された。
タイダイカラーで気分もアップする『casual』
何度もデザイナーとやり取りを重ねてつくられたというカラフルポップなタイダイカラーが目を惹く『casual』は、サニタリーショーツのベーシックなタイプ。
後ろ側にギャザーが寄せられていることでフィット感がありナプキンのズレを軽減する。
シームレスであらゆるファッションが楽しめる『stylish』
サイドにあしらわれたドットのレースが上品な『stylsh』。「サニタリーショーツはラインが響きやすく、ボトムスを選んでしまう」という声を反映し、洋服に響きにくいシームレスタイプを採用。
安心感のあるボクサータイプ『worry-less』
ボトムスに響きにくいラベンダーカラーの『worry-less』は、お腹まですっぽり包み込んでくれるようなボクサータイプ。後ろ側まで防水面が設計されているため、2日目の多い日や就寝時にも心強い。
マルチカラーのラインが、「SaniBuddy」らしいお茶目なデザイン。
デザインだけでなく、機能面も考慮した「SaniBuddy」。ナプキンをつけるメッセージ入りのクロッチ部分は綿100%を使用し、サニタリーショーツにありがちなカサカサ感を軽減している。
羽付きナプキンに対応した二重構造に加え、裏側をメッシュ素材にすることで、付け外しがしやすくなっている。
「生理」にまつわるパネルディスカッション
「SaniBuddy」のお披露目後、臨床心理士のみたらし加奈さんが登壇。PLAZA会員サービス「PLAZAPASS」でのアンケート調査をもとにしたパネルディスカッションがスタート。
自分の状況に気づきながらも、ケアをしてあげられない現状
まずは、気持ちの波があらわれやすい生理前後の気分について。
「生理中、または前後に気分が落ち込んだり、ネガティブな感情を感じますか?」という質問に、70%が「感じる」と回答。
みたらしさんは、「個人差がありますが、自身の体の痛みや気持ちのしんどさに、フォーカスが当てられる時代になってきたと思いました」と、多くの人が自分の状態に気づけていることに注目した。
質問は、サニタリーショーツに関する話題へ。
生理期間中に約7割がサニタリーショーツを使用しているが、「安心して履ける、気に入って履けると感じているサニタリーショーツと出会えていますか?」という質問に対し、36%が「意識したことない・気にしたことがない」と回答。さらに、80%近くが「サニタリーショーツを購入する店舗やブランドが決まっていない」と答えた。
この結果に対し、中村さんは「生理の痛みや悩みにフォーカスしながらも、生理のときに使うサニタリーショーツに関しては、なんとなく使っていそう」と分析。
みたらしさんも「生理は蓋をしなければならないもの」として長い間扱われてきた歴史に触れながら、ネクストアクションができていない人が多い現状を指摘。
「わたしはメンタルヘルスケアの専門家として働いていますすが、『しんどさに気づけたものの、次に自分に何をしてあげたらいいのかわからない』というお声を多くいただくので、これは現代社会における問題でもあると思います」と話す。
生理を通して、自分にやさしくしてあげる練習をしてみる
「しんどい」と感じながらも、解決の手立てを講じられない背景には、痛みへの慣れや「生理はこうあるものだ」という植え付けがあるのではないか、とみたらしさん。
周りの先輩たちと、「痛みは気のせいだから」「別に痛み止めを飲むほどではないよ」というコミュニケーションが交わされる場面に遭遇したことがある人も少なくないはずだ。
「本当は痛みにも個人差があるとわかっているのに、生理のこととなると普遍的に『みんな同じ体験をしている』と思いがち。
それほど生理の話題が蓋をされてきたことだと思いますが、『SaniBuddy』にも記されている『It’s OK not to be OK(大丈夫じゃなくても大丈夫)』ではなく『It’s OK(大丈夫)』にしかフォーカスが当たっていない状況があるのだと感じています」と、みたらしさんは話す。
「自分も耐えなければならない」「大丈夫でなくてはならない」という思い込みがあるなかで、同じ人でも心や体の状態は月によって変わる。
自分にやさしくするのに慣れていない、もしくは「自分なんて優しくする価値がない」とどこかで思ってしまっている人に対してみたらしさんは、「生理というひとつのトピックを利用して、快適に過ごしていく練習をしていくと、長い目で見たときに自分の精神や体を大事にしていくことにつながっていくと思います」と、生理を通じて自分の心と体を大切にするヒントが投げられた。
生理を快適にするコミュニケーションとは?
蓋をされてきた歴史が長いからこそ、普遍的なものとして扱われやすい生理。周りの人とコミュニケーションすることで、自分の心や体に対する意識も変わっていくはず。
「生理や健康について話せる身近な人はいますか?」という質問に、80%が「いる」と回答。
この結果に、みたらしさんは「生理の話も『生理痛、わたし重いんだよね』『わかる』で終わらせてしまうのではなく、『こういうプロダクトが良かったから、使ってみたら?』と情報共有したり、『もしかしたら婦人科に行った方がいいかも』と言ってあげたり、次のアクションを促せるような会話になるとお互いに体と心をサポートし合えるコミュニティになっていくと思います」と、コミュニケーションの内容に注目した。
実際に中村さんは、「どこまで誰に話していいのか難しい」と悩みながらも、商品開発をしていくなかでチームメンバーと議論を重ねたそう。議論をしていくうちに新しい知識を得たり、情報交換の場になったりする。
みたらしさんは、「しんどいことを自覚したら、よりしんどくなってしまうような反面もあるかもしれませんが、実はシェアした方が楽になることもある。『病は気から』と思わずに、『しんどい』『痛い』と誰かに言ってみることが大事だと思います」とアドバイスした上で、フェムケアアイテムについては「さまざまなプロダクトが選択肢にあることが理想。ジェンダーニュートラルのものがあれば、かわいいに特化したもの、かっこいいに特化したものなど、選択肢の幅が広いほど、当事者としては安心できると思います」とプロダクトの多様性の重要性にも触れた。
PLAZAだからこそ、発信できることは? 「SaniBuddy」開発者・中村優希さんにインタビュー
コスメや輸入菓子、雑貨などを扱うPLAZA。全国に展開し、人々の生活を彩る商品が並ぶショップだからこそ「日常の当たり前の選択肢」として、発信できるメッセージがある。
「SaniBuddy」を開発者した中村優希さんに、プロダクトに込められた想いをうかがった。
ーー 昨年発表した生理用オーガニックナプキン「The Week」の反響はいかがでしたか?
中村さん(以下、同):「パッケージがかわいくて、生理用ナプキンだと思えない!」という入り口から、たくさんの方々に手に取っていただいています。
お子様に購入されるご家庭が多くいらっしゃいました。お子様が初潮がきたばかりで、生理について話せずに困っていたところ、PLAZAで一緒にお買い物をしたときに見かけた「The Week」をきっかけに、生理の不調があることを話してくれるようになったというお声も。
製品を使っていただく以上に、生理について話すきっかけ作りができたことは、ありがたいことだと思います。一方で、お菓子のようなパッケージがゆえに、SNSでは「もったいないから、そのまま飾っておきます」というような投稿も。
使い心地や機能もこだわった製品ですので、今後は外見だけでなく、いかに品質の良さを伝えていくのか、が課題になっています。
ーー PLAZAの店内では、ナプキンやフェムケア専用のゾーンがあるのでしょうか?
わたしたちは、フェムケアもボディーケアの一環として扱っています。それは「当たり前にチョイスするものとして存在させたい」という想いがあるからです。
なので、特別にゾーンを設けているのではなく、他の雑貨と並べても変わりがないよう、ナチュラルに置ける商品を提案することがひとつのテーマになっています。
外国人の方にレジ前に並べられた「The Week」がコットンキャンディだと思われたようで、「こちら生理用のナプキンなんです」と説明する場面もありました(笑)
ーー PLAZAだからこそ、提供できる価値を教えてください。
「フェムテック」という言葉は、トピックとしては扱いやすいですが、「意識が高いもの」というイメージを持つ人もいると思います。
私たち生活雑貨を扱うPLAZAは、敷居を高くせず、みんなが考えていけるものだと提案していきたい。
「The Week」のテーマにもつながりますが、友達とコスメやお菓子を選ぶときのように、吟味しながら「わたしはこのナプキンを買う」「わたしはこのサニタリーショーツを買う」とトークをしてもらいたい。また、ギフトのひとつとして、他の商品と組み合わせたときにミスマッチ感もなく贈れます。
それがPLAZAで展開する意義だと思います。
ーー 思いを伝えていくだけでなく、思いを受け取る場所をつくっていくために、今後の展望や現在進められていることがあれば教えてください。
これまでのPLAZAは、お客様とのコミュニケーションが希薄でした。今回チームを立ち上げたときに、会話ができる場を設けたいと考え、社内で「meet meクラブ」というモニターチームをつくりました。
meet meクラブには、アルバイトや契約社員、正社員まで、幅広い年齢層の55名が集まります。そこで座談会をしたり、サニタリーショーツを試していただいたりしてあがってきた意見を、商品開発に活かしています。
デリケートな内容なので心配していましたが、意外とみなさんお話をしてくれるんです。まずは社内でコミュニティを広げていき、やがてお客様にもそういった場を設けられたら、と考えています。
みたらし加奈さんに聞く、情報に振り回されないための考え方
今回のプレス発表会で、「自分の心や体に気づき、自分にやさしくすることが大切」と発信したみたらし加奈さん。
ランドリーボックスでは、さらに自分をやさしくするための考え方やコミュニケーションのコツ、情報に振り回されないためのティップスなどを聞きました。
ーー パネルディスカッションでお話しされていたように、自分にやさしくしてあげるのにハードルが高い方もいらっしゃると思います。まずはじめの一歩として、どのようなことができるでしょうか?
生理に対しては、サニタリーショーツやコットンの生理用ナプキンといったような、自分が快適に過ごすための直接的なグッズを買うのもひとつだと思います。そのもう一歩先を行くアクションとして、「お腹が冷える」「汗がかきやすくなる」と、痛み以外の体のサインに目を向けてあげましょう。
プロダクトでなくても、足湯だけする、チョコレートを食べすぎないなど、普段から触れるものや口に入れるもの、すべてにおいて「生理だから」と理由をつけながらも、アクションをしていくのが具体的な方法だと思います。
自分の体に対して諦めずに、「これがいいかな」とベストを見つけていくことが大事です。
ーー 「『病は気から』と思わずに、まずはシェア」という言葉もありました。生理のトピックを話すときに、伝え方で気を付けたいことを教えてください。
「人には人の地獄がある」という言葉を大事にしています。「自分のケースと、他の人のケースは違うかもしれない」というのは生理にも言えること。その地獄を教えてくれたらわかるかもしれませんが、それも想像できるものではない、という意識があると、言葉選びも変わってくると思います。
ーー フェムテックやフェムケアアイテムの情報が増えているなかで、選択肢を知ることが大切である一方、情報に振り回されてしまうこともあるかもしれません。情報との向き合い方を教えてください。
自分の心の手綱を誰かに握らせないこと。日頃から意識していないと、なかなかできないことだと思います。振り回されたときに「今度は振り回されないようにしよう」とすると、かえって自分を苦しめてしまう人もいるので、まずは振り回されている自分に気づいてあげましょう。
「自分に何かしてあげなきゃ」と思っているとき、実は自分のメンタルが置いてきぼりになっていることもあります。そんなときは、「大丈夫ではない」方を意識することです。
自分の痛みとうまく付き合っていく方法を持てば、だんだん情報に振り回されなくなってくるポイントが見えてくると思います。
何かに「固執してるな」と少しでも思ったら、その事柄から少し離れてみてください。固執することで「しんどい」と感じる原因を吸収しているかもしれないので、考え方を少しだけ転換して「別のことをやってみよう」とする積み重ねも大事だと思います。
“女性の” 生理と冠をつけがちですが、もちろん生理のある人たちのなかにはノンバイナリーの方もいるし、トランスの方もいます。
妊娠する可能性のある子宮を持っている人は生理が来るので、ジェンダーに固執されずに “女性の” 生理だけではないと考えてみることが、いろんな子宮のケースを考えることにつながります。
固執を手放すと、痛みにもいろんなグラデーションがあるとわかります。ただ、今度は「視野を広げなきゃ」と固執してしまうので、わたしはミクロとマクロの繰り返しを意識しようとしています。
自分にやさしくしてあげる、ひとつの選択肢
生理がある日の選択肢を広げてくれるサニタリーショーツがあることで、「わたしの体は今どんな状態で、どんな気持ちなんだろう?」と体と心の状態に目を向け、自分にとって心地よいものは何かを考えるきっかけになるはず。
「しかたないから」とアイテムを選ぶのではなく、「これがいい!」と前向きな提案をしてくれる「SaniBuddy」。気になる人は、試してみて。