生理がくるのをワクワクして待つ人ってなかなかいないですよね。生理痛、イライラ、大切な予定とかぶったらどうしよう……。そんなふうに、生理に対してネガティブな印象を持つ人が多いのではないでしょうか。

子宮があれば定期的にやってくる生理。生理用品が私たちの生理の日々にどう影響するのか。オーストラリア在住のみなさんに話を聞いたら、日本とは異なる生理との付き合い方も見えてきました。

今回集まってくれたのは女性3人、男性1人。左からLiz、Julie、Chandler、Eva。
Photo by Hiromi Takahashi

Liz:アメリカ出身、セクソロジー専攻の大学院生。生理用品経歴:紙ナプキン→タンポン→ピル→IUD→月経カップとさまざな生理用品、もしくは生理をコントロールするアイテムを活用してきた。いまは月経カップ一筋!

Julie:アメリカ出身、セクソロジー専攻の大学院生。生理用品経歴:紙ナプキン→タンポン→ピル→避妊インプラント(皮下挿入型の避妊ホルモン剤)→月経カップ。避妊インプラントのため生理はほぼナシ。不定期で出血があり、そのときはタンポン、月経カップを使用。

Eva:フランス出身、地理学の博士課程。生理用品経歴:紙ナプキン→タンポン→ピル。現在はピルを毎日飲んでおり、生理は完全にストップしている。

ちなみに筆者の生理用品経歴は、紙ナプキン→タンポン→ピル月経カップ+タンポン+生理用ショーツ。生理の週の予定や、出血の多さなどによってアイテムを使い分けています。

紙ナプキンからのスタート

—年齢を重ねるにつれて、みんないろいろな生理用品を試してきたみたいだけど、生理初期の頃と比べて生理の印象は変わった?

Liz:紙ナプキンは嫌いだった。蒸れるし、かゆくなるし、サイズが大きいとオムツをつけているみたいだし。いまは月経カップを使っていて、生理を意識することはなくなった。そう考えると、生理用品によって生理に対するネガティブな印象は減らせると思う。

Eva:私も紙ナプキンが苦手だった。高校の女子トイレって音が丸聞こえ。紙ナプキンを開けるときのバリバリっていう音で、「エバ今日生理なんだー!」って友だちからからかわれるのがすごく嫌だった。いまは低用量ピルを4週間休みなく飲んでるから生理はない。自分で生理をコントロールできるって快適。

Julie:紙ナプキンに好印象はないね。タンポンの存在を知ってからは生理がラクになったかも。蒸れないし、プールにも入れるし。でもアプリケーター付きのタンポンって見た目がすごく長い。実際の吸収スポンジは7㎝くらいだけど、アプリケーター付きだと全長15㎝くらいになる。「これ全部入れるの!?入るの!?」って思った(笑)。最初は使い方が分からなかったからね。

いまは避妊インプラント(皮下挿入型の避妊ホルモン剤)を使っていて、生理は不定期。経血はすごく少ないから小さめの月経カップとか、タンポンで対応しているよ。

あと学校の性教育で、女子だけで月経の講習を受けて紙ナプキンが配られたんだけど、そのとき先生が「公共の場で生理の話はしないように」というニュアンスのことをいっていた。その影響で生理にタブー意識を持ったのかも。教えてくれたのも紙ナプキンの使い方だけで、タンポンとかほかの製品のことは紹介してくれなかった。

女性3人とも紙ナプキンは不評でした。これは筆者も同感。とくに海外の紙ナプキンは吸収力、通気性ともに日本の製品よりクオリティが低い気がします。そして、彼女たちはそれぞれに生理用品の冒険を経て、現在の付き合い方に至っています。いいなと思ったのは、生理用品の選択肢の多さとアクセスの良さ。

生理用品の選択肢

日本でもタンポンやピルは聞き慣れているかもしれませんが、「避妊インプラント」や「月経カップ」などはまだ認知度が低い気がします。筆者は酒好きの日本人友だちに月経カップの話をしたら、日本酒の「月桂カップ」と勘違いされました(笑)。

膣の中に挿入し、経血を受け止める。経血の量にもよるが、朝に挿入してその日の夜に外す。1日中生理のことを忘れていられる優れモノ。
Photo by Hiromi Takahashi

「避妊インプラント」は名前の通り、避妊が目的。避妊を促すホルモンが排卵自体を抑えるので、生理がこなくなる、もしくは生理の経血量が減る人が多いです。残念ながら、「避妊インプラント」は日本ではまだ認可されておらず使用できません。製品自体はこんな感じ。

実物大をわかりやすくお伝えするための見本なので青く染色していますが、実際は透明色
Photo by Hiromi Takahashi

直径4cmくらいのスティック状で上腕に皮下挿入するもの。スティックから避妊効果のあるホルモンが放出され、約3年間、避妊効果が持続します。

生理を止めるという選択

—3人とも共通して、生理を止めるという選択を過去にしたことがある、もしくは現在も生理がこないようにコントロールしています。なぜその選択に至ったの?

Liz:私が使った避妊方法はピルとIUD。とくに生理をなくしたいという希望ではなくて、避妊を目的にしてたよ。でも副産物的に生理がなくなればいいなとは思ってた。でもピルもIUDも私のカラダには合わなくて、継続できなかった。いまは避妊方法はコンドームだけにして、生理のときは月経カップだけ使ってるよ。使用歴は約10年だからもうプロ級。年齢を重ねるごとに経血の量も安定してきたから、月経カップを使うと生理を意識することはほぼなくなった。

Julie:私もいま使っている避妊インプラントの選択は避妊が最優先の目的。生理はなくなればいいなと思ったけど、私の場合は不定期で出血する。出血は軽減されたからラクだけど、いつくるか分からない不便さもある。だからいつでもタンポンは持ち歩いてるよ。

Eva:私の場合は、避妊と生理を止めること両方が目的だった。生理前になると気分の落ち込みが激しかったり、お腹が異常に減ったりというカラダや感情の変動が激しくて、自分らしく生活できなかったのが理由。生理痛もすごく重かったしね。いまは低用量ピルを毎日1錠休みなく飲むことで排卵をストップしてる状態。今の自分に妊娠は考えられないから、生理も必要ないと思ってる。

生理とどう付き合うか? 選択肢の幅広さ

今回のインタビューでは、海外の生理の付き合い方、生理用品事情についてお話を聞きました。すごく素敵だなと思ったことは、みんな生理に対する自分の身体反応をよく理解していて、自分にあった生理の選択をしていること。そしてなにより、アメリカ、フランス、オーストラリアには選択肢が豊富にあること。

日本は紙ナプキンが主流で、品質も種類もいい商品がたくさんあるけど、経血があふれ出る瞬間の不快感や、蒸れやかゆみなど、紙ナプキンでは超えられない壁があります。膣に直接挿入するタンポンや月経カップは怖いという意見もありますが(筆者も最初は怖かった)、ひとつの選択肢として試してみると、新たな発見があるかもしれません。生理による憂鬱な日々が、少しでも晴れやかに過ごせますように。

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