2021年に乳がんが発覚し、その後手術を受けた様子をInstagramに絵日記で公開しているこほこさん。

前回は、告知を受けてから手術までを綴ってもらいました。

今回は、乳房摘出+同時再建手術のための入院生活を紹介します。

入院初日

イラスト=こほこ

手術2日前に入院。

朝8時半過ぎ、入退院が混む前に手続きが開始されました。

体重測定をしてから地図を渡されて病棟へ。

初めての病棟ゾーンは…未知…。

ちょうど空きが出たとのことで、大部屋から個室に変更してもらえることに。

部屋に荷物を運んだあと、夫とともに麻酔科外来で説明を受けて同意書を提出しました。

そこで夫とはグッバイ。次会うのは2日後の朝、手術直前です。

病棟に戻って看護師さんから部屋の設備などの説明を受け、入院患者用のバンドを左腕につけてもらうと、病棟に出入りする権利を手にしたような特別な気分に。

アミューズメントパークの刷り込みで脳がワクワクしてしまった。

お昼になって初めての病院の食事です。部屋まで持ってきてくれるの楽すぎるし、おいしくて完食。

薬剤師さんが来てお薬の説明してくれたり、

看護師さんが体温測定に来てくれたり、初日からいろんな初めましての人に会えて楽しかった〜。

入院2日目

イラスト=こほこ

入院2日目、手術前日。

のんびり朝食をとっていたら歯科に呼ばれて口腔ケア。

戻って残りの朝食を平らげたら、すぐ昼食の時間になりました。

午後イチに形成外科に行って脚のエコー。よりいい装置らしくて画質がよい。

RI検査という「放射性医薬品」を投与する検査もありました。

RI検査は、体内に集積した医薬品を放射線によって見ることができ、良悪性の鑑別などに使われるそう。

事前に注射する時間と検査する時間が分刻みで設定されていたから、うっかり昼寝して遅刻しないようにしなきゃ、とちょっと気を引き締めます。

装置の台に「気をつけスタイル」で仰向けに寝転がっていると、頭上に何かが通り、割とすぐ終わりました。

検査のついでに術後すぐ飲む用のペットボトルの水を買い足したついでに、庭に咲く桜を堪能…。

病室に戻ると乳腺外科の主治医の先生が様子を見に来てくれました。

続いて麻酔科の医師とアレルギーについて話し、手術室の看護師さんから当日の流れについて説明を受け、病棟の看護師さんと術後に使うセットを再確認して準備万端!

あっという間に夜になっていました。

手術前夜

イラスト=こほこ

入院生活2日目の夜、手術前夜のこと。

夕食を完食してるのを見て、看護師さんがニッコリ。手術の日は絶食だからかな。

術後すぐには洗髪できないため、シャワー室で髪の毛を入念に洗います。

術後すぐは、観察室で様子を見るため、術後すぐに使うものに不足がないかを再度確認。

看護師さんが、眠れるか気にしてくれていたけど気づいたら寝てた。スヤァ。

おだやかな夜だったよ。

いよいよ手術の日

イラスト=こほこ

朝8時25分くらいに病棟から手術室へ出発!

病棟の入口で夫が待ってて看護師さんと3人で手術室へテクテク移動。

手術室の扉の前で夫とはお別れ。

まずは乳がん取るのが2時間くらい、続いて再建が7時間くらいなので、夫は待機室で読書したり庭を散歩したりして過ごすらしい。

手術室の中に進んで内扉の前で腰掛ける。

前日に病室に来てくれた手術室の看護師さんが話しかけてくれ、

たくさんの人々とともに手術台へ向かう。

靴を脱いで手術台にのぼって寝っ転がったら、乳腺外科の医師が腕をさすりながら声をかけてくれました。おぉ〜今から手術という実感が湧いてきます。

あとはお任せじゃ。

麻酔科の医師が左手の甲に注射をして、口に酸素マスクが当てられました。「おぉこれが…テレビとかでよく見るやつ」と思っていたら、

「まだ眠くなりません〜」

と医師に言われて、「あれ、違ったか…」と思っていたら

「きつめのお薬が入ります〜」

スヤァ…

入眠カウントする暇もなかった。

こうして手術スタートしたのでした。

術後すぐの夜のこと

イラスト=こほこ

手術室で麻酔が入ってスヤァ…の後

「こほこさん、終わりましたよ〜」

と一言。ゲームで何かを攻略してワープしたような感覚。

「こほこさん、ご主人ですよ〜!こほこさん!」

目を開けてみるけど平衡感覚が分からず斜めにポワーとだけ、笑ってる夫が見えて目を閉じる。

後から夫に聞いた話によると、この一瞬しか会えないからスタッフのみなさんが必死に起こそうとしてくださったそうです。

本人は麻酔の余力に抗えず無事に二度寝(笑)。

観察室らしきところに到着してから、再度起こしてもらいなんとか目が覚める。形成外科の先生が話す声が聞こえます。

「どこか痛いですか〜?」

(脚が痛い…)と言いたいのに…

……声が出ない!!

「じきに声がでるようになりますよ〜」

(そうなんや!)

気管挿管してたからしばらく声が出ないらしい。術前の説明で聞いた気がするけど、忘れていました。

こうして、手術で左の太腿が右胸になってくれました。

術後は、右脚が爪先までまっすぐ伸びていて左脚は股関節から左横に開脚がデフォルト状態。

右脚はばんばん動かしてよいそうで足首を回したりしてみました。

左脚は太腿の裏がピリピリ張ってるようで、痛みというよりは刺激の感覚があったので動かすのをやめておく。

水OKになってから、ベッドの背もたれを上げてストローをつけたペットボトルで水を1/4くらい飲む。ウマイ。

酸素マスクは口を覆うタイプから鼻タイプに変更。

「今日はもう休んでください〜」と言われたけど、麻酔で朝から晩まで9時間くらい爆睡してたからもう眠くないなぁ…。

スマホを見る気にはなれず、カーテンの隙間から見える時計をぼんやり眺める手術後の夜。

術後1日目の朝

イラスト=こほこ

朝になって、観察室まで形成外科の先生が様子を見に来てくれました。

再建したからマンマ体操(筋肉の拘縮や創部癒着の予防のために術後に行う体操)をせずに右腕は90度までは上げてよく、

(自家組織は脚からだから)お腹に力を入れて起き上がっても大丈夫。

と、いろいろ動き方の説明を受けました。

朝食は右手の人差し指にパルスオキシメーターが付いていてお箸が持てないので外してもらう。しかし、お腹が減っていなくてバナナと牛乳だけ食べました。

ガーグルベースと歯磨き用水を看護師さんが用意してくれてベッドの上で歯磨き。

おしぼりで顔を拭いてなんだかスッキリ。

朝だ〜明るいっていいなぁ〜。

術後1日目の昼から夜

イラスト=こほこ

浴衣タイプのレンタルパジャマに着替えたら、首から不織布のポシェットを2つかけて、右胸からの体液のパックと左太腿からの体液のパックをそれぞれ入れます。

管が絡まないように注意。

ゆっくり立ち上がってみると、体がふんわりして、左脚は引きずるけど、なんとか歩ける!

観察室から自分の病室まで…歩ける!

元いた個室に帰ってきて、窓から外の穏やかな風景が見えたときは本当にホッとしました。

手術の朝から観察室滞在まで1日半のわずかな時間離れていただけ。でも、「戻ってこれた」感が半端ない…!

ここから回復を目指します。

徐々に右胸と左太腿から出ている管と体液のパックにも慣れてきて、給湯室に行ってお湯もらってお茶入れて韓流ドラマを一気見〜。

飽きたら廊下をお散歩ウロウロ〜。

まだ声は裏返ったり喉は微妙なのでずっとのど飴を舐めて過ごしました。

それでも動けるってよい〜!

術後3日目

イラスト=こほこ

朝食後すぐに乳腺外科と形成外科の医師が同時に登場。

手術のときに貼ったガーゼやテープを剥がして…、初めて傷を見る!

心の準備しなきゃ…。

だけど、目がボケてよく見えない…。まだよくわからないなぁ。

胸の血管は問題なし。

その後、術後初めて病棟の外までお散歩しよ〜と長い羽織を着てワクワクお出かけ。

右脚重心で左脚を引きずって歩くので階段は無理だけど、平地はどんどん行ける。

「全然歩けるわ〜」と思っていたら途中からしんどくなってきてヘトヘトになって病室へ戻ることに。

疲れたのか、午後から胃のムカつきや胃酸が逆流。空咳も出て声はまだまだ裏返るし、のど飴なめてやり過ごします。

寝る前に最後の抗生剤の点滴があって、左手に刺さっていた針も抜去しました。

もう取っちゃうの?と思ったけどスッキリ〜。

術後4日目

イラスト=こほこ

手術した右胸を初めて鏡で正面から見たのは、術後4日目でした。

とはいえガーゼやテープがついているから傷をちゃんと見るのはもっと先で、この日は形を見ただけ。

手術翌日から今まで、着替えのときに見る機会はあったけれど

なんとなく心の準備ができていなかったのもあって、上からちらっと見るだけ。

身体にストレスがある状態で心にもストレスを与えないほう方がいいかなと思い、見るタイミングを図っていました。

術後4日目、ようやく身のこなしも慣れてきたし、鏡の前に立って正面から見てみる。

浴衣タイプのパジャマをさっくり外す〜。

小胸だからほぼガーゼ&テープで覆われてるけど、左胸と同じような膨らみがあるのが分かる。

まるで胸のようだ…。

手術した右胸や右脇から背中あたりまでるし感覚があまりないから、胸の膨らみがあるのが不思議な感じ。

新しい右胸さんこんにちは!

ちなみにドナーになった左太腿は、最初はバンドがぐるぐる巻かれていて、傷の位置も脚の形もよくわからん。

術後6日目

イラスト=こほこ

病棟に洋式トイレが2つしかないのでいつも早起きして行くけど早朝5時にして満室。

出遅れた。みんな考えることは一緒ね。

外来の広いトイレまで遠征するか…。

10時頃に執刀してくれた乳腺外科の医師が来て胸の傷を診てくれました。

壊死したら皮膚を貼るなどの処置もあるとのこと。「左脚の膨らみも治るから大丈夫!」と励ましてくれる医師。

体調はどんどん良くなってきていると感じられました。

左膝を曲げると左太腿裏の傷周辺で引きつる感じがあったけどだいぶマシになり、あぐらがかけるようになりました。

そして、左脚を持ち上げて前に踏み出して歩行できるようになったのです。

声がいつも裏返っていたけど、だんだんと普通の声で話せるようになってきていることに気づきました。

体液のパックは左脚太腿から80ml。右胸から30mlとだいぶ減ってきた。もうちょいで胸の管が抜けるかな?

術後7日目

イラスト=こほこ

術後7日目に看護師さんから退院後の生活の説明がありました。

「退院のしおり」をいただき、わかやすく教えてもらって

私も乳がんサバイバー!

なんかかっこよい響きだな、戦隊モノのイメージ…強そう!

説明をきいて、退院後に心がけようと思ったこと。

・がんの治療を受けている人は、あまり動かないことによってさらに疲れやすくなってしまうことが特徴。動く習慣をとりいれましょう。

→ よっしゃなるだけ毎日歩くぞ!

・手術側の腕は上げないように。洗濯物は低めの位置に干すなど工夫しましょう。

→ しばらくは乾燥機に頼ろう〜。

・手術側の腕はリンパの流れが悪くなっているので虫刺されや日焼けや脱毛に注意。

→ 長めの袖着たりアームカバーつける!

手術側が利き腕で、お仕事でもパソコン触りっぱなしになるから1時間ごとに休憩取るように心がけよう〜。

振り返って思うことは、術後翌日に見た朝日は格別だった

私の場合は術後12日で退院。

入院中は当然ながら初めての出来事だらけ。医師や看護師の説明を受けながら、流れに乗って日々のタスクをこなす日々。

手術した日は、夜が明けるまでがとにかく長かった…。

麻酔から覚めたらもう夜だったから外はよく見えないし、身体の状態が分からず動けないうえ眠くもない…つらかった。翌日に見た、あの日の朝の光は格別でした。

全摘した右胸にふくらみを与えるために左太腿のお肉を移植したけど、手術直後に負荷がかかったのは右胸よりも左太腿。 歩くときは引きずり、トイレに座るのもピリピリと違和感、床に落ちたモノも拾えず着替えも戸惑う…。

思えば大変な状態だったんだろうけど、思うように動けない身体が心の大きな負担にはならず。 

それもこれも、病棟や手術室の看護師さんが適切な距離感でサポートしてくれたおかげだと思います。

廊下を歩いていてもさりげなく見守り、特別扱いするでも同情的になるでもなく寄り添ってくれました。

看護助手さんやお掃除の人もみんな気さくで、入院前に比べて随分気持ちが楽に…。ひたすらに感謝!

*本記事はこほこさんの場合の体験記です。検査の流れや症状はケースによって異なります。医師の診断や指示に従いましょう。また、体に異変や違和感がある場合は受診をおすすめします。【本記事はこほこさんのInstagramの投稿に加筆・編集を加えたものです】

New Article
新着記事

Item Review
アイテムレビュー

新着アイテム

おすすめ特集