【お悩み】
どんより曇り空や蒸し暑い日が多く、普段よりも疲れやすい、熟睡できない、手足が重く感じるなどの症状が出ています。ダルさから、やる気も起きづらいように感じます。おすすめ養生を教えてください。
湿気の邪気(湿邪)が体に悪影響を及ぼす
特に6月以降は全国的にも梅雨入りするので、このようなご相談がとても多くなります。
同じだるさやしんどさの症状でも、今までお話ししてきた気虚(元気不足)や血虚(血の不足)のようなエネルギーや血といった材料が足りていないパターンとはまた違います。
ご相談者のような、特に曇りの日や雨の日に疲れやすい、熟睡できない、手足が重く感じるなどの症状は、中医学では「湿邪(しつじゃ)」の影響だと言われます。
湿邪とは雨の日や梅雨時など、湿度の高い日や通気性の悪い環境での生活を続けることによって、体に悪影響が出る湿気の邪気の事を指します。
湿邪の特徴
①重たい
湿邪は重いので、湿邪におかされた部位が重い、だるいなどの沈重感を伴う症状があらわれます。具体的にはからだや手足、頭が重だるい、鈍い痛みがあるなどです。
②ネバネバしている
痰(たん)がネバネバする、汗がジトジトする、大便がベトベトして便器を汚す、舌苔(ぜったい)が厚く口内がネバネバして汚いなどの症状があらわれます。またジメジメした雨の日や湿気の強い日に症状が悪化する特徴があります。
③下にいく
湿邪の沈重性は下降性をもち、下へ下へといき、特に下半身のトラブルに繋がりやすくなります。具体的には膝が重い、脚が重い、下半身がむくむなどの症状が出てきます。
④停滞する
湿邪は定着性が高いために、いったん体内に侵入するとなかなかとり除くことができません。
そのため症状が長引く、なかなか治りにくいという特徴があります。
⑤脾(消化器系)を傷める
胃腸は乾燥を好み、湿気を嫌う臓腑です。そのため湿邪が体内に停滞すると、湿度により消化器系の働きを低下させます。具体的には食欲が落ちる、吐き気、嘔吐、手足がむくむ、手足が重いなどの脾の運化失調の症状が見られやすくなります。
湿邪による痛みの症状は雨の日や台風の接近によって悪くなりやすく、シクシクとした鈍痛としてあらわれやすいです。
湿邪に対するおすすめ養生
食べもの
・胃腸を元気にする食材
かぼちゃやトウモロコシ、豆類、穀類、大豆製品など黄色くて自然の甘味の食材は胃腸を元気にすると言われます。意識して、よく噛んで食べるようにしましょう。
・除湿する食材
紫蘇、もやし、春雨、冬瓜、小豆、はと麦など利水作用のある食材をできるだけ温かいスープやお粥などに入れて摂りましょう。温かい緑茶、ホットコーヒーなど利尿作用のある飲み物も飲むといいでしょう。尿や汗として体の内側から湿邪を追い出すことができます。
生活習慣
・汗をかいて体を除湿する
ストレッチやヨガ、ウォーキング、ランニングなどで体を動かし、軽く汗をかくように
しましょう。半身浴や岩盤浴、温かいお風呂などにゆっくりつかって汗をかくのもいいですね。溜まった湿気は汗として外に出してあげましょう。運動は代謝も良くなるので、一石二鳥ですね。
※適度な量の汗をかくように意識し、大量に汗をかきすぎないように注意しましょう。
・冷たい飲食物は控えめに、水も必要以上に摂り過ぎない
よくネットやテレビなどで有名人が「1日3ℓ水を飲む生活で健康を意識しています」などと言うとマネする人がいます。
もちろん汗をよくかいたり、しっかり運動する習慣のある人には必要な場合もあります。しかし、ただでさえ湿度が高く、湿気が多い梅雨。
中医学では、大量の水を摂ることで、胃腸は弱り、さらにからだは湿気まみれになり、むくみやめまいなどに繋がるとされています。
適度な水分量は一人一人違います。自分に合った量を見つけましょう。
除湿器や部屋用の湿気取りなどを活用して部屋の湿気をとることも大切です。
セルフお灸もおすすめ
次におすすめのツボです。
豊隆(ほうりゅう)
脛(すね)の少し外側で、膝と足首のちょうど中間あたりの高さに位置します。
少し硬いため押しにくいので、深呼吸でフーッと吐きながら親指でグーっと押し、吸いながら緩めていきましょう。5回程度を1セットに、1日に2〜3回程度行いましょう。
また、この位置にお灸をするのもおすすめです。
足三里
膝の皿の下、外側にあるくぼみから指幅4本分の位置にあります。
指で押すのもいいですが、ここのツボはお灸がおすすめです。自宅で簡単にできるお灸がドラッグストアなどにもあるので、セルフケアに取り入れてみて下さい。
図にある足三里から解渓までの大きな筋肉(前脛骨筋)を上から下まで指で押してあげたり、さするのもおすすめです。
無理せず、自分を一番大切に
ご相談者のように梅雨や湿度の高い日などに疲れやすい、熟睡できない、手足が重く感じるなどの症状が出る人も多いと思います。
また梅雨時はカラッと晴れる日も少ないため、気分もスッキリせずに落ち込んだり、メンタルの不調が出る人も多いです。
梅雨の晴れ間はとても貴重です。
湿邪対策のために晴れた日にはお散歩をして日光を浴びて汗をかきつつ、気分転換するだけでも少し気分が晴れると思います。
特に今年は不安定で、心身共にしんどいなぁ、と感じる人は無理せず、自分を大切にして、苦手な梅雨を元気に乗り切りましょう。
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