【お悩み】
5月の連休明けから疲れやすく、よく眠れた気もしません。家事や仕事もしなければならないことは頭では分かっていますが、なかなかやる気が湧いてきません。夏までには体調を戻して、仕事もプライベートも充実させたいので、おすすめ養生を教えてください。
完璧主義、気遣いやすい人が5月病になりやすい
この方は典型的な「五月病」の症状ですね。
一般的には新入生や新社会人など4月の入学や入社から1カ月経った5月の連休明け頃に起きやすい症状なので「五月病」といわれています。
ご自身が学校や仕事に行ってなくても、ご家族や周りの人の環境の変化でも影響が出ます。
春は新しい環境への期待や、新しいことへのやる気、チャレンジ精神が旺盛な季節です。
しかし、人間関係の悩み、新しい環境に適応できない、自分の思い描いていた理想と現実とのギャップ、周囲からの大きすぎる期待、目標を見失った喪失感…など、さまざまな原因で精神的ダメージが大きな原因だと言われています。
最近では特に下記に当てはまる人は、現実と理想のギャップや疲れを溜めやすいなどの理由で五月病になりやすいと言われています。
・生真面目な人
・責任感が強い人
・融通が利きにくい人
・ロマンチストな人
・優等生タイプの人
・完璧主義の人
・周囲に気を遣いやすい人
・我慢強い人
症状としては
・なんとなく気分が落ち込む
・疲れやすい、倦怠感
・集中できない、虚脱感
・不眠
・食欲不振、胃痛
・めまい、動悸
などが見られます。
五月病は医学的に「適応障害」に分類されます。たいていの場合は一過性の心身の不調で、1~2カ月もあれば自然と環境に慣れ、症状もよくなるとされています。
そうは言っても、症状がでてしまってはしんどいし、早めに対策をしておくにこしたことはないです。
春からフル稼働している「肝」が弱っているかも?
中医学的に「五月病」を見ていくと「肝」のトラブルが原因だと言われます。
中医学では肝は血を貯蔵し、血の流れを調節して全身に栄養素を送り、気の流れをスムーズに巡らせる働きを担っています。
また、自律神経のバランスを整え、精神面や感情面の調節を行う大切な臓腑です。
春は臓腑で言うと肝と関係が深く、さまざまな環境の変化やストレスが多いので、肝は常にフル稼働している状態になります。
この状態がずっと続くことで、肝の機能が弱り「肝血虚」または、血や気の流れが滞ることで「肝鬱気滞」といった五月病に似た症状が現れます。
肝の機能が弱る「肝血虚」
「肝血虚」の症状
・不安感、気分の落ち込み、憂鬱
・無気力、無関心、億劫
・判断力、思考力の低下
・ダルさ、疲労感
・睡眠障害
・こむら返り
・爪が割れやすい
・髪の毛のパサつき、細くなる
「肝血虚」さんにおすすめの食材
いちごやクコの実、ナツメ、人参など「赤い物」。
黒ゴマや黒豆、ひじき、海苔、黒きくらげなど「黒い物」。
ほうれん草などの緑黄色野菜、レバー、カツオ、赤身のお肉、玉子など。
「肝血虚」さんにおすすめ生活養生
① 10分でも早く寝る
② スマホやPC、TVの見過ぎなど目を酷使しない
③ 考えても答えの出ないときは考えすぎない
④ 激しい運動や岩盤浴などで汗をかきすぎない
⑤ 生理中や産後は特に無理しない
「肝血虚」さんにおすすめのツボ
・血海(けっかい)
膝のお皿の内側の角に薬指を置き、指を3本そろえて、人差し指が当たっているところ。
お灸などで温めるのもいいですし、気持ちいい優しい強さで親指で円を描くようにぐるぐる押してあげるといいですよ。
血や気の流れが滞る「肝鬱気滞」
「肝鬱気滞」の症状
・イライラしやすい、怒りっぽい
・焦燥感
・情緒不安定
・のどの詰まり感(ヒステリー球)
・ため息やおならが増える
・胸や脇などが張って痛い
・頭痛
・生理前にさまざまな不調が出やすい
「肝鬱気滞」さんにおすすめの食材
みかんやレモンなど柑橘系、パクチー、パセリなど香草類、ミント、カモミールなどハーブ、紫蘇、セロリ、梅干し、レモンティー、ジャスミンティーなど香りのいい食材
「肝血虚」さんにおすすめ生活養生
① ストレスはこまめに発散する
② 予定は詰めすぎず、余裕をもって生活する
③ 身体を適度に動かす
④ 友達と話したり、歌を歌ったり、溜め込まずに外に発散する
⑤ 髪をブラッシングしたり、頭を揉む
「肝鬱気滞」さんにおすすめのツボ
・太衝(たいしょう)
足の甲の親指と人差し指の骨が交わるところからやや指先の凹み
お灸などで温めるのもいいですし、深呼吸をしながら人差し指で気持ちいい強さでぐっと押し込むとスッキリ気も巡りますよ。
自分を一番大切にして
ご相談者のように毎年のように5月頃は気分が落ち込み、イライラしやすく、不調が出やすい人も多いと思います。
基本的な生活習慣を整える、身体を動かし、伸び伸び過ごすことも大切です。
他にもお散歩をして気分転換しつつ、日光浴をするだけでも少し気分が晴れると思います。
特に今年は不安定で、「心身共にしんどいなぁ」と感じる人は無理せず、自分を一番に考えましょう。
自分を大切にして、5月も新緑のように伸び伸び過ごしましょうね。
夏までには気分もスッキリ元気になれますように。
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