【今月のお悩み】
「生理痛(腹痛・頭痛・腰痛)がひどく、なかなか起き上がれません。また、腰が硬くこわばっている感じも気になります。生理中にとにかくラクに過ごす方法を教えてください」
生理痛の2種類の要因
中医学では生理痛は本来「ない」ことが正常だと考えます。しかし、生理になると生理痛だけでなく、頭痛や腰痛に出るタイプの人は多いです。
中医学では大きく分けると2種類の痛みがあると考えられています。
① ストレスや冷え、血流の悪さなどが原因でエネルギーの流れが悪くなることによって起きる痛み「不通則痛(ふつうそくつう)」
② 体の気(エネルギー)や血の不足により、栄養ができなくなることによって起きる痛み「不栄則痛(ふえいそくつう)」
①不通則痛のタイプの症状とおすすめ養生
・生理の初日や2日目など初めの方が痛い
・鎮痛剤が手放せないほど、刺すような激しい痛み
・経血の色がどす黒く、レバー状の塊が出る
・生理前の不調(PMS)がひどく、しんどい
・ストレスが多いと生理痛が悪化する
まず食材としておすすめのものは
血流を改善するもの
イワシやサバ、サンマなど青魚、納豆、ニンニク、玉ねぎ、ナス、らっきょう、生姜、黒きくらげ、カニ、桃、紅茶など
気の巡りをよくするもの
ミカンやレモンなど柑橘系、三つ葉、春菊、パクチー、セロリ、紫蘇、ミント、ジャスミンティーなど香りのよい食材
これらを意識して摂り、血と気の巡りを改善しましょう。
生活のNG習慣は?
・脂っこいもの、味付けの濃いもの、甘いもの、冷たいものを摂りすぎる
・ストレスや疲れを溜める
・運動不足や同じ姿勢
・体を冷やす
生活の養生として意識すること
・お風呂にゆっくりつかって、リラックス、身体を芯から温める
・1時間に1回は立ち上がったり、ストレッチしたり、体を動かす
・趣味を持って、こまめに自分なりのストレス発散法でスッキリする
・散歩やウォーキング、ジョギングなど運動する習慣を身につけましょう
②不栄則痛のタイプの症状とおすすめ養生
・生理の後半が痛い
・シクシクと弱い痛みが続く
・経血の色が淡く、量が少なめ
・生理周期が長い
・疲れたり、無理すると痛みが悪化する
まず食材としておすすめのものは
気を補うもの
かぼちゃやニンジン、サツマイモ、お米、豆類、肉類、山芋など黄色くて自然な甘みがあるもの、ほうじ茶など
血を補うもの
いちごやブルーベリーなど濃い色のベリー類、クコの実、ナツメなど赤いもの、肉類、カツオ、マグロなど血合いの多い肉、ほうれん草や小松菜など緑黄色野菜、レバーなど
これらを意識して摂り、血と気を補いましょう。
生活のNG習慣は?
・夜更かし
・目を使うことは血の消耗。PCやスマホなど長時間目を使い過ぎる
・激しい運動や長風呂、半身浴、ホットヨガなどで大量に汗をかく
・休みの日に予定を詰め過ぎる
生活の養生として意識すること
・睡眠を大切に。その日のうちに寝る習慣を
・ストレッチやヨガなどゆったり心地よくできる運動を続けましょう
・食事はよく噛んで、腹八分目にしましょう
・休みの日も予定をパンパンに詰めず、余裕を持った生活を
以上が生理痛や痛みの原因とその対策になります。その上で、今回のお悩みの人は生理痛の痛みも動けないほどひどく、この①のタイプだと考えられます。
①の食養生や生活養生を取り入れてみてください。そして生理のときだけでも下腹部や腰にカイロを貼ったり、湯たんぽなどで温めるようにしてみてください。温めることで冷えから体を守ることができ、血流を改善することもできます。食事の方法もサラダやアイス、冷たい飲み物などは避けて、お鍋やスープ、お粥などできるだけ温かく、温める調理法を選ぶようにしましょう。
また、あまりにも痛みがひどい場合は婦人科系疾患の可能性もあります。つらいときはクリニックへの受診をおすすめします。
【update】2021年3月10日20時頃、婦人科系疾患にかんする補足説明を追記しました。