【お悩み】

30代です。最近よく足がつるようになり、夜中に起きてしまうことも。ひどいときは両足つってしまいます。日々の養生で改善できることはありますか?

軽視されがちな症状だが、生活に支障をきたすことも

ご相談者のように「足がつる」というご相談も多く受けます。

ただ、直接命に関わるような不調ではないため、軽く見られることも多いですが、睡眠中に足がつると満足な睡眠がとれなくなるので、生活に支障をきたすようにもなります。

足がつるとは一般的には「こむら返り」と呼ばれ、夜の就寝時や起床時、伸びをしたとき、運動中など、日常的によくみられます。

症状としては、ふくらはぎや足の裏、ふとももの筋肉などが突然強くけいれんして痛みが出ることを足がつる(こむら返り)と呼びます。

足のつりは、誰にでも起こりうる症状なのですが、高齢の人や妊娠している人は比較的起こりやすくなります。

「足がつる」4つの原因

西洋医学では、こむら返りのおもな原因として下記の4つが挙げられます。

① 筋肉の疲労によるふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の痙攣

② 水分やミネラル(Ca、Mg、Kなど)不足

③ 血行不良

④ 冷え

中医学の世界では『芍薬甘草湯』を処方することでも有名です。

最近の研究でも、芍薬甘草湯には筋肉の緊張をゆるめ、痙攣そのものや痙攣に伴う痛みを抑える作用があることが分かっています。

芍薬甘草湯で症状が緩和されるケースも多いですが、それでも改善しない場合は根本的な改善が必要になってきます。

足がつりやすい人は「肝血虚」の状態

東洋医学的には、筋肉は五臓の『肝』と関係が深く、また筋肉の栄養となる『血』の状態なども足のつりに影響すると考えます。

肝は五臓の1つで、大きくわけると下記の2つの働きを持つ臓腑と考えられています。

①「疏泄(そせつ)をつかさどる」

②「血(けつ)を蔵す」

体の諸機能や自律神経を調節する(疏泄)機能と、血を貯蔵して循環させる機能です。。

また「筋(きん)をつかさどる」という機能もあり、筋肉の収縮や弛緩といった運動の制御にも関わってきます。そのため、筋肉がスムーズに動くためには筋肉の栄養である血(肝血)が必要になります。

足をつりやすい人は「肝血」の不足である『肝血虚(かんけっきょ)』である場合が多いと考えられます。

原因としては普段からストレスが溜まっていたり、胃腸のはたらきが低下していると、十分な肝血が筋肉に運ばれず、筋肉が栄養失調状態(肝血虚)となり足がつると考えられます。

また、睡眠不足やPC・スマホなどで目の使い過ぎ、考えごとが多い人は脳の使い過ぎで血虚の原因になると考えられます。

さらに女性では生理中や出産前後は血液の消耗が激しいため、とくに血虚がひどくなりやすく、その期間は特に養生が必要になってきます。

3つ以上当てはまると、肝血虚の可能性

肝血虚がある人は足がつる以外にも下記の症状が見られます。

・眩量(めまい)
・立ち眩み
・眠りが浅く、夢が多い
・かすみ目、疲れ目
・まぶしさを感じやすい
・自然と涙が出る
・爪が割れやすい
・手足がしびれる
・筋肉がピクピクする
・抜け毛
・生理不順、生理の量が減る

3つ以上当てはまる人は肝血虚があると考えられます。

これらの根本原因を見直し改善することで、足のつりが起こりにくくなります。

肝血虚の人におすすめの養生

では肝血虚を改善していく養生法をご紹介します。

おすすめの食養生

写真=本人提供

肝の血を補う赤い食材(クコの実、ナツメ、ぶどう、イチゴやブルーベリーなど色の濃いベリー類、小豆など)や黒い食材(黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、ヒジキ、海藻、シジミ、牡蠣など)がよいでしょう。

参考:【簡単レシピ】旬食材で性欲アップ「牡蠣のカリッとバターレモンソテー」

他にもレバーやほうれん草、小松菜など緑黄色野菜などを積極的に食べるようにしましょう。

参考:「クミン香る小松菜と納豆炒め」——生理の日に食べたい。楽うま「ゆるっとごはん」第8回

おすすめの生活養生

①ストレスは溜め過ぎず、こまめに発散

②夜更かしはせず、その日のうちに寝る

③予定はギュウギュウに詰め込まず、ゆとりのある生活を

③頭を揉んで、気を巡らせる

④体の横側を伸ばして、ストレッチ

これらを日々の生活でも意識していきましょう。

肝血虚におすすめのツボ

最後にツボ押し養生としては、下記の2つのツボがおすすめです。

画像=本人提供

承筋(しょうきん)

ふくらはぎの縦の中心線上で、ふくらはぎの筋肉が最もふくらんでいるところ。 左右の足にあります。

このツボを親指の腹で、「痛気持ちいい」と感じる力で、ひと押し10秒ほどを3~5回繰り返しましょう。デスクワークや通勤電車などで座っているときは、足を組んで、一方のひざでもう一方の足のこのツボのあたりを刺激することもスキマ時間にできるのでおすすめです。

承山(しょうざん)

ふくらはぎの中心線上で、盛り上がりの下の端。また、アキレス腱を上にたどると、ふくらはぎの筋肉にあたる部分。足の左右にあります。

このツボを親指の腹で、ひと押し10秒を3~5回ほど繰り返します。「承筋」同様に、足を組んでひざで指圧してもいいでしょう。

ほかにも冷えや血行不良(瘀血)の状態が続くことでも筋肉の代謝が乏しくなり、足のつりや痛みが起こりやすくなると考えられます。

とくに秋冬は冷えやすくもなるので、レッグウォーマーをしたり、お風呂にゆっくりつかったりと、足元を冷やさないようにしましょうね。

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