【お悩み】
40代になり、最近トイレに行く回数が増えて困っています。普段からできる対策はありますか?
排尿が1日8回以上になると「頻尿」の可能性
ご相談者のように、いわゆる「頻尿」で悩んでいる人はとても多くいます。頻尿は、「尿が近い、尿の回数が多い」という症状のことです。
泌尿器科の定義では、一般的には朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいます。
しかし、1日の排尿回数は人によってさまざまですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも自分自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。
特に40代以降、頻尿のお悩みをもつ人は増えているように思います。
水をつかさどる「腎」のパワー低下が原因に
頻尿を中医学的に見ていきましょう。
東洋医学において尿と大きく関係する臓腑は 水を主る(つかさどる)という生理機能をもつ『腎』です。
ここでいう水は水液代謝のことを指します。
「腎」は西洋医学の「腎臓」の機能と似ており、身体の水(津液)のうち身体にとって必要なモノを肺に上昇させ、不要なモノを尿として膀胱から排泄させます。
年を重ねてきて、「腎」のパワーが低下してくると、尿量の増加や減少、尿の我慢ができないというような尿の異常があらわれやすくなり、結果的に尿の回数が増えてきます。
このような症状を、中医学の世界では「腎虚(じんきょ)」と言います。
頻尿や尿量の増加の他に
・尿の切れ、勢いが悪い
・夜間頻尿もある
・足腰がだるい
・精力の減退
・手足のほてり
・口が渇く
・周りより老けて見られる
・耳が遠い、耳鳴り
などの特徴的な症状があります。また、いわゆる老化現象を伴うことも多いです。
この『腎虚』を改善していくことで、頻尿だけでなく全身の不調を改善できる可能性があるのも東洋医学のいいところです。
頻尿の原因『腎虚』のおすすめ養生方法
では、改善方法を見ていきましょう!
食事の養生方法
黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、ヒジキなど黒い食材。タコ、イカ、昆布、海苔、味噌など鹹味(えんみ・塩辛い味)のもの。エビ、ニラ、椎茸、ラム肉、シナモン、紅茶など身体を温めるもの。
これらは、足りなくなった腎を補う『補腎』の食材です。
他にも
精がつくと言われている山芋、自然薯、黒胡麻、スッポン、うなぎなど。くるみ、松の実、クコの実、アーモンドなどの種実類。桑の実、ブルーベリー、ラズベリーなどのベリー類。
固渋(固めて漏れ出ないようにしてくれる)作用のある梅、銀杏・栗・ピーナッツなどの渋皮の渋味のものもおすすめの食材です。
生活の養生方法
・身体を冷やさない(特に腰回りを冷やさないよう、できれば腹巻などを使用する)
・湯船(約40℃前後)につかって、身体を温めてリラックス
・ストレスは溜め過ぎず、その日のうちに発散
・疲れを溜めすぎないためにも夜更かしはせず、その日のうちに寝る
・適度な運動で体を動かす
・骨盤底筋トレーニングなども取り入れる
これらを意識して、しっかり腎を補ってあげましょう。
腎虚におすすめのツボ
①太渓(たいけい)
内くるぶしとアキレス腱の間のへこみを太渓といい、腎を補ってくれるツボです。
へこみを押して、指先に動脈の拍動を感じるところ。このツボを優しく押したり、お灸をしたりしてみましょう。
②腎兪(じんゆ)
その名の通り、腎の働きを高めるツボ。おへその真後ろの「命門」から両わきへズレたところにあります。
指圧して気持ちよさを感じるところを優しく押すか、蒸しタオルやカイロで温めるのもおすすめです。
③水分(すいぶん)
字の通り水分の調節を働きかけてくれるツボで、おへその中心から親指1本分上に上がったところにあります。
腎兪と同様に優しく押すか、蒸しタオルやカイロで温めるのもよいでしょう。
特に秋冬のように寒くなると増えてくるのが頻尿。東洋医学では、冷えに弱い腎が弱りやすいからと考えることもできます。
命にかかわるような症状ではなくてもしょっちゅうトイレに行くのは面倒だし、夜間にトイレで起きるのも睡眠の質を下げてしまいます。
腎を補うのは1日でも早いに越したことはありません。今日から養生を始めましょうね。
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