【お悩み】
年を重ねるごとに、集中力が続かなくなってきています。
テレワークが続き、自分で集中する時間をコントロールせねばならない環境ですが、ちょっと机に向かっては疲れてしまいます。
おすすめの養生方法を教えてください。
中医学では脳は「腎精」によって維持されている
どうしても加齢とともに集中力は低下しやすくなってきますよね。
昔はもっと集中してできていたのに!とモヤモヤすることもあると思います。
中医学では、脳は「腎」が蓄える「精」(生命エネルギー)=「腎精(じんせい)」によって維持されていると考えます。
そのため、腎の機能低下が集中力の低下の大きな要因のひとつと考えられています。
過労や睡眠不足、老化などで、腎精を消耗すると、足腰の怠さ、腰痛、関節痛、疲労倦怠感、骨や歯の弱りなどに加えて、記憶力、集中力の低下、耳鳴、目眩などが生じます。
腎精の消耗度チェックリスト
□集中力の低下
□物忘れが増えた(記憶力の低下)
□腰痛、足腰がダルい
□疲れやすく、根気が続かない
□白髪・脱毛が増えた
□聴力低下、耳鳴り
□頻尿、夜何度もトイレにおきる
□手足が冷えやすい
□ほてりやすい
□皮膚が乾燥して痒い
□不妊症、ED、精力減退など生殖器トラブル
この中で3つ以上当てはまる人は腎精が不足し始めているかもしれません。
生まれたときに両親から授かった腎精は日々消耗していく
腎精は生まれたときに両親から授かり、腎の中に貯蔵された「先天の精(せんてんのせい)」が元となって作られています。これは、日々消耗し、「腎虚」という、腎が少ない状態になっていきます。
それを補い、カバーするには「後天の精(こうてんのせい)」と呼ばれるものが大切になります。「後天の精」は主に飲食物を脾胃が消化・吸収することによって得られるもの(水穀の精≒栄養物質)です。
「先天の精」である腎精は、「後天の精≒栄養」を常に受けて補充されます。
集中力持続におすすめの養生方法
では、腎精を補って、集中力を持続できるようになる養生法をお伝えします。
≪腎精を補う食べ物≫
①黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、牡蠣、シジミ、海藻類、エビ、イカ、ホタテなど「黒い食物」や鹹味(塩辛い)の「ミネラルが豊富な食物」
②くるみ、松の実、アーモンド、ピーナッツなど「木の実類」
③山芋、銀杏、ニラ、椎茸、ラム肉、ウナギ、シナモンなど「体を温める食物」
これらを積極的に食べましょう。
《腎虚を改善する生活習慣》
①日々胃腸を養生する
前述したように胃腸が元気でしっかりと消化・吸収出来れば、消耗してしまった腎精を補充する事ができます。
胃腸は冷たい、脂っこい、甘い、味付けの濃い物などを食べ過ぎると弱ります。
そのためできるだけあっさり味の温かい物を摂りましょう。
また、よく噛んで食べることも胃腸の負担を減らしてあげることに繋がります。
最初の1口だけでも、30回よく噛んで食べるように意識してみてください。
②疲れやストレスは溜め過ぎない
疲れやストレスを溜め過ぎることも腎精の消耗に繋がります。
また、睡眠不足も腎精を消耗することになります。
できるだけ規則正しい生活を心掛けて、睡眠不足や疲れを溜め過ぎないようにしましょう。
こまめなストレス発散もとても大事です。発散方法は人それぞれなので、自分の好きなこと、やりたいことでストレスをこまめに発散するようにしましょう。
③体を冷やさない
体を冷やすことは腎精を蓄える「腎」を弱らせる原因のひとつ。
冬場は外が寒いので、冷やさないように気を付けている人も多いですが、これから夏に向けては油断する人がとても多くなります。
薄着、冷房での冷え、冷たい物の飲食が増えるので体を冷やしてしまう機会が増えます。
夏でも、涼しい部屋ではできるだけ温かい食べ物や飲み物を選ぶようにしましょう。
また、部屋の中では靴下を履いたり、腹巻をしたりと身体を冷やさない工夫をしましょう。
腎精を補うのにおすすめのツボ
①太渓(たいけい)
内くるぶしとアキレス腱の間のへこみ。へこみを押して、指先に動脈の拍動を感じるところです。
優しく押したり、お灸をしたりするのがおすすめです。
②腎兪(じんゆ)
その名の通り、腎精を蓄える腎の働きを高めるツボ。
おへその真後ろの「命門」から両わきへズレたところにあります
指圧して気持ちよさを感じるところ、カイロを使ったりして温めるのもおすすめ。また、腰回りを冷やさないことも大切です。
腎精は日々消耗していくものです。
すぐに変化が見られなくても、諦めずにコツコツ腎を補い、胃腸をケアしていくようにしましょう。
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