【お悩み】
最近、顔や手がすぐにむくんでしまいます。顔は特に寝起きがひどく、手は以前は入っていた指輪が入らないことも…。
今年50歳なので更年期も関係あるのでしょうか。おでかけする機会も増えてきたので、むくみをとって身体も気持ちもスッキリさせたいです。
水分代謝の低下がむくみの原因
ご相談者のお悩みは特に女性を中心に多いです。
むくみは、疲れているときなどによく起こる症状のひとつ。血液中の水分が血管やリンパ管の外に染み出て、皮膚の下に溜まった状態です。
顔やまぶた、手指、足首からふくらはぎにかけてがむくみやすく、ときに身体全体がむくむこともあります。
中医学では、身体全体の水分代謝の低下がむくみの原因と考えます。
主に水の代謝は「肺・脾(胃腸)・腎」で行うと考えますが、そのうちのどこかの機能が低下すると水が滞り、むくみが生じやすくなると考えられています。
ちなみに、西洋医学で言う肺、脾臓の臓器とは異なります。下の図のように「肝、心、牌、肺、腎」という5つを合わせて五臓と呼び、それぞれが身体の臓器や部位、感情と密接な繋がりを持っています。
そしてこの5つが相互に助け合ったり、抑制し合ったりすることで体内のバランスを保っているというのが、中医学の考え方です。
むくみの部位によって養生方法も異なる
今回はそれぞれの臓腑の弱りにあった養生法をご紹介します。
ご相談者と同じように顔がむくみやすい人は「肺」、手足がむくみやすい人は「脾(胃腸)」が弱っている場合が多いと考えられます。
では、詳しく説明していきます。
- 顔やまぶたがむくみやすい人
顔やまぶたのむくみが気になる人は、臓腑でいうと「肺」が弱り気味。
本来、肺は呼吸によって伸縮することでしっかり使われますが、長引くマスク生活や慢性的な運動不足などにより、あまり使われないことで機能が低下していると考えられます。
また、肺は、暑さにも寒さにも弱い、繊細な臓器。
マスクで蒸れると息苦しくなり、呼吸が浅くなっています。
デスクワークやスマホの使い過ぎなどによる姿勢の悪さも原因に。
こうした肺の弱りが、体の上のほう(顔やまぶた)のむくみとして現れます。
- 手足や全身がむくみやすい人
また、全身もしくは手足がむくみやすい人は、東洋医学で胃腸を表す「脾(ひ)」が弱っています。
一番の原因は、食べすぎ、飲みすぎ。
ファーストフードを食べた日や、お酒を飲みすぎた翌日に手がむくんで指輪がきつくなった、といった経験はありませんか。
また、日本人はもともと冷たいものを食べたり飲んだりする習慣があります。
これも胃腸を弱らせる大きな原因に。
そもそも胃腸は湿気を嫌う臓器です。乱れた食生活でさらに全身や手足のむくみが悪化します。
しかも、胃腸が弱ると、体全体も重だるくなります。
肺と脾(胃腸)の弱りにおすすめの養生法
肺、脾(胃腸)それぞれの養生法をご紹介します。
- 顔やまぶたがむくみやすい「肺」の弱りの養生法
肺は使わないとどんどん弱ってしまいます。
朝、昼、夜、1日3回でもいいので、ゆっくりと大きく息を吸って吐く。深呼吸をして、肺をしっかり伸縮させる時間を作りましょう。
また、肺を鍛えるには運動が一番です。
少し息が上がる程度の有酸素運動がおすすめです。
運動は汗で余分な水分が排出されるため、湿気を嫌う「脾(胃)」にもいい習慣です。
また、肺は乾燥を嫌います。
そのため、食養生は肺を潤す食材の、はちみつ、杏仁、豆腐、白きくらげ、梨、蓮根、大根、百合根などを摂るとよいでしょう。
そのほか、呼吸と深い関係があり「気」を補う食材のきのこ類、肉類、えび、山芋、さつまいも、じゃがいもなどを積極的に摂りましょう。
おすすめのツボ
肺を補うツボは「尺沢(しゃくたく)」です。
軽く肘を曲げた内側にできる横じわの、真ん中にある太い筋の親指側の溝にあります。
思い出したときに深呼吸とともに、5秒程度でふーっと吐きながら押して、すーっと吸いながらゆっくり離していきましょう。
- 全身・手足のむくみやすい「脾(胃腸)」の弱りの養生法
まずは冷たい食べ物や飲み物を控えて、最低でも食事を常温にして胃腸が冷えすぎないようにしましょう。
そして胃腸に負担をかけないためにも腹八分目を心掛け、よく噛んで食べましょう。
また、湿気が苦手な胃腸のために、室内や布団を除湿することも効果的。
天気がいい日は布団を干す、布団乾燥機を使う、窓を開ける、エアコンの除湿機能を使うなど、空間の湿度を下げることも忘れずに。
脾を補い、働きを高める食材の米、インゲン豆、大豆製品(豆腐など)、山芋、かぼちゃ、じゃがいも、キャベツ、りんご、豚肉、牛肉などをよく噛んで食べましょう。
おすすめのツボ
脾を元気にし、余分な水分を出すのにおすすめのツボは「豊隆」です。
すねの外側のひざと足首の中間にあり、外側の筋肉が一番盛り上がっている場所です。
深呼吸しつつ、両手の親指を重ねてツボに当て、ゆっくりと肌が沈み込む程度に刺激しましょう。
以上がそれぞれの体質に分けた養生法です。
むくみはお悩みの本人にとって、とても気になる症状だと思います。
日々コツコツ養生することで、気になるむくみをスッキリさせましょう。
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