神奈川県と県教育委員会は14日、神奈川の全県立校で生理用品を常備すると発表した。同日の県議会代表質問で黒岩祐治知事と桐谷次郎教育長が答弁した。
なお、学校の実施対象の範囲は、県立高等学校および県立特別支援学校のみ。10月からの開始を予定しているという。
また県施設10箇所では生理の貧困への対応として、9月17日より生理用品400セットの配布を開始した。予約は不要で各施設の窓口などで受け取ることができ、なくなり次第終了予定。
モデル事業終了からわずか1カ月半で正式導入決定
この全県立校で生理用品を常備する決定に先立ち神奈川県では、6月1日から8月31日にかけて県立学校12校で女子トイレに生理用品を設置するモデル事業を行っていた。要した生理用ナプキンは約85800個に登る。
モデル事業では、今後の県立学校でどのような取り組みを進めるか検討するために、生徒のニーズや実状を把握することを目的として、県立高校10校と県立特別支援学校高等部2校の女子トイレに生理用品を設置した。
設置場所は女子トイレの共用部分(洗面台付近など)で、箱の中に生理用品を20~30個収納。生理用品の補充は、教員のほか、トイレ清掃の当番の生徒や保健委員の生徒なども行っていた。
その終了からわずか1カ月ほどで今回の正式導入決定に至っている。
生徒が安心して学校に来れる環境を整えるための取り組み
ランドリーボックスでは、神奈川県教育局指導部保健体育課へ取材を行った。担当者いわく、モデル事業の対象校にアンケート調査を実施したところ、「あると助かる」「安心して学校に来れる」など生理用品常備のニーズが高かったために導入を早めたという。
また、今回の取り組みが意図するのは生徒が安心して学校に来れる環境を整えること。「忘れてしまって困った場合などに備えて(生理用品が)あれば、慌てることなく、授業中に外へ買いに行ったりすることもなくなる」とし、生徒が安心できる環境をつくることを最優先にしており、生理の貧困への取り組みも意図している。
生理用品の常備を知らせる案内は、学校ごとの実情に応じて生徒や保護者にそれぞれの学校からの案内を予定しているとのこと。
県施設10箇所では生理用品の配布を開始
県施設10箇所では生理の貧困への対応として、9月17日(金)より平日の8時30分から17時15分の間に生理用品400セットの配布を開始した。予約不要で、なくなり次第終了予定。
対象施設は以下の通り。
- 共生推進本部室 入口受付窓口 【神奈川県東庁舎3階】
- かながわ男女共同参画センター(かなテラス)入口受付窓口 【藤沢合同庁舎2階】(※)
- かながわ県民センター 県民の声・相談室 【かながわ県民センター15階】(※)
- 川崎県民センター 入口受付窓口 【ソリッドスクエア東館2階】(※)
- 県央地域県政総合センター 県民の声・相談室 【厚木合同庁舎1号館1階】(※)
- 県央地域県政総合センター(高相分室) 情報コーナー 【高相合同庁舎1階】
- 横須賀三浦地域県政総合センター 情報コーナー 【横須賀合同庁舎1階】
- 湘南地域県政総合センター 情報コーナー 【平塚合同庁舎本館1階】
- 県西地域県政総合センター 情報コーナー 【小田原合同庁舎1階】
- 県西地域県政総合センター(足柄上分室) 情報コーナー 【足柄上合同庁舎1階】
(※)がついた配布場所では、職員が直接生理用品を手渡すため、携帯電話画面等で配布カード画像を提示するか、窓口に設置の配布カードを指差すことで声に出さずとも受け取れるという。
(取材:うと/構成:稲葉結衣)