HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)のキャッチアップ接種が、2021年12月23日の厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会で了承された。期間は2022年4月から3年間となる。

子宮頸がんの95%以上はHPVの感染によるものとされていて、適切な時期にHPVワクチンを接種することで、30歳までに子宮頸がんになるリスクを88%以上予防することが可能だ。

キャッチアップ接種のこれまでの経緯

日本では、2013年にHPVワクチンの定期接種を開始。小学校6年生から高校1年生相当の年齢までは公費助成により無料で接種が可能だが、無料期間を過ぎて自費で接種する場合には最低でも約5万円の費用がかかることになる。

定期接種を開始した年に、ワクチン接種後に痙攣などの症状が出た事例をメディアがセンセーショナルに報道したことで不安を煽り、同年6月以降厚労省はHPVワクチンの定期接種の積極的勧奨を差し控えている状況だった。

しかし、積極的勧奨の差し控えによりHPVワクチンの接種率が激減した2000年度生まれの20歳時子宮頸がん検診の異常率は、1999年以前生まれと比較して上昇していることが2021年12月12日に発表された大阪大学の研究グループによって明らかになっている

2021年10月1日の検討会でHPVワクチンの積極的勧奨の再開の方向性が確認され、11月12日の検討会で「積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当である」として、HPVワクチンの積極的勧奨を再開することが了承されていた

また、同月15日に積極的勧奨の差し控えにより無料接種の機会を逃した女性のキャッチアップ制度を来年4月から実施する方針を固めたと報じられた。対象者は1997~2005年度に生まれた女性とするのが適切だという意見が多数を占めたが、正式には決定されていなかった。

【関連記事】HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)って安全なの?副作用(副反応)が多いといわれた理由とQ&A(医師監修)

接種期間は2022年4月から3年間

12月23日に開かれた今回の厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会にて、このキャッチアップ接種が1997〜2005年度生まれの9学年を対象とする案が了承された。

積極的な接種の呼びかけを中断していた間にHPVワクチン接種の対象年齢を迎えた、1997~2005年度生まれの9学年がキャッチアップ接種を受けられる期間は来年4月から3年間とすることも同日の予防接種・ワクチン分科会で了承された。

1997~2005年度生まれの9学年には、積極的勧奨を中断した当時に高校1年生だった97年度生まれを筆頭に、2021年度に高校1年生の05年度生まれの女性までが含まれていることになる。

同分科会では、対象者全員へお知らせを送ることも了承され、同時に予診票も送るよう厚労省に求める意見が相次いだとBuzzFeed Medicalが報じている

【関連記事】HPVワクチンを打ち逃して大人になってしまった世代。今から接種しても効果はあるの?

【関連記事】取り残されてしまった世代に、もう一度チャンスを。不安を煽ったHPVワクチン報道から9年、学生を中心に活動

New Article
新着記事

Item Review
アイテムレビュー

新着アイテム

おすすめ特集