「髪の毛の長い人」初めて会った人から覚えられる私の第一印象はそれだった気がする。私は20年以上、髪の毛が腰〜お尻にかけてまである、ハイパーロングヘアだった。

小学校時代にバレエのため髪を伸ばしはじめてから、すっかり定着したロングヘアはもはや私の相棒だった。バッサリとカットしたのは2021年。その髪をヘアドネーションすることにした。

ハイパーロングからバッサリカットしました。

ヘアドネーションを考えている人の参考になればと体験記を書くことにする。

私のヘアドネーションのきっかけは、髪の毛がなくなるかもしれないから、自分の髪でウィッグを作りたいと思ったことだ。

一時期、体の不調が続き悪性リンパ腫の疑いがあるとして検査続きだった。疑わしい数値がどんどん出るに連れ、「悪性リンパ腫 治療」ばかりを検索しては、治療法とそれに伴う体の変化を知り不安が募っていた。

今思えば、結果が出る前からそんなに検索してもしょうがないだろという感じなのだが、抗がん剤治療における副作用として毛髪が抜けるという事実はさらに不安を募らせた。

国立研究開発法人国立がん研究センターによると、2018年に新たに診断されたがんは980,856例(男性558,874例、女性421,964例)。また、2018年のデータに基づき、がんと診断される確率は男性62.0 %、女性66.9 %とされている。

歳を重ねていけばいくほど可能性は高まるわけで、数字がリアルに感じるようになり、確率論を計算をし始めてしまうような状況で私のウィッグ大作戦がはじまった。

髪の毛が抜ける→長い髪の毛の場合は喪失感がすごいらしいから短くしておくほうがいい→ウィッグも必要→え、気に入ったもの見つけるの大変じゃない?→だったら自分の髪でウィッグ使る!と、ウィッグ製作について調べはじめた。

しかし、調べるうちに、1人の髪の毛で1人分のウィッグができるわけもなく、1人分のウィッグを作るにはおおよそ約30人分の毛髪が必要だと知った(もっと必要だと記載があるサイトもある)。

こうして、私のウィッグ大作戦が終わろうとしたとき、検査結果も問題なく終わり私の不安は晴れていった。

けれど、もう相棒に別れを告げる心づもりができていたので、髪の毛をカットしたくなっていた。

せっかく髪を切るなら、ヘアドネーションしよう。今度はヘアドネーションを調べることにした。

ヘアドネーションとは?

ヘアドネーションとは、小児がんや先天性の脱毛症、不慮の事故などで頭髪を失った子どものために、寄付された髪の毛でメディカルウィッグ(医療用ウィッグ)を作り18歳以下の子どもたちに無償で提供する活動だ。

大人向けのヘアウィッグは既製品の種類も多いが、成長期の子どもたちにフィットしたウィッグを既製品で見つけるのは難しく、価格も高い。

ヘアドネーション団体のサイトにはウィッグを待っている子どもたちの人数が数百人単位で記されていた。1人分のウィッグを作るにはそれなりの毛量が必要なため、常に足りていない状態なのかもしれない。

自分も髪を失うかもしれないと感じたときの喪失感と不安感を考えるとヘアウィッグの存在はとても貴重だと身をもって感じた。

それに、長年共に過ごしてきた我が相棒が、誰かのウィッグとして活用してもらえたなら、相棒も本望だし私も嬉しいと思ったことが大きい。

いざカット!!!

いつもの美容室でもドネーションカットが可能だったので、私はいつもの美容室でお願いすることにした。

今までは美容室からドネーション団体へ発送が可能だったが、コロナの影響でカットした髪を自分で発送する仕組みに変わったそうだ。

「キャーーーヤバ!!」をひたすら連呼していた自分
相棒ーーーーーーー!!!!

そして、ヘアドネーションをする際に気になるのが、髪の毛の条件とどこに髪の毛を寄付するかということ。

ヘアドネーションに必要な髪の毛の条件と注意点

特に大事なのが、提供する髪の毛の状況だ。ドネーション団体のサイトに書かれている条件はおおよそ以下。

・31cm以上の長さがあること

・カット時はブロッキングしてゴムでまとめ、結び目の1cm上あたりをカットする(ご自身でのカットもOKだがこの辺りが難しいんじゃないかなと思った)

・カビの繁殖を防ぐため、髪が完全に乾いている状態でカット・保管すること

・髪の毛を軽く引っ張っただけで千切れるようなダメージでなければ、カラー、パーマ、ブリーチ、グレイヘアも大丈夫

・毛量には決まりはないので少なくても大丈夫

・性別に決まりはないのでどなたでもドネーションOK!投薬、放射線治療をしていた方でも大丈夫

・送付団体にもよるが、カットした髪をラップでぐるぐる巻きにしたり、接着剤で台紙に固めるのはNG。届いた髪を選別したり、ケアする際の手間が増えてしまう

一番ネックになるのが、髪の毛の長さかもしれない。一時期15cmあれば大丈夫というような情報も見かけたけれど、各団体のサイトを見る限りだと現在は31cm以上から受け付けている。

というのも、ヘアドネーション団体のサイトによると、髪の毛を半分に折り返してウィッグの地肌となる生地に縫い付けるため、31cm以下の髪の毛では医療用フルウィッグを作ることができないという。

ちなみに、寄付する髪の毛の長さによって作られるウィッグが変わる。

31cm以上は「ショートウィッグ」、40cm以上は「ボブウィッグ」、50cm以上は「ロングウィッグ」60cm以上は「スーパーロングウィッグ」になる。

Photo by Misa Nishimoto

私のはスーパーロングウィッグになるのかと思うとちょっと嬉しい。カラーするのが面倒でずっと黒髪だったので毛髪の健康状態は素晴らしいと思われる。

切った髪はしっかりと髪の毛がまとまっているのを確認して発送。発送方法は団体によって異なるかもしれないのでチェックしよう。

Photo by Misa Nishimoto

ヘアドネーション団体の選び方

さて、カットした毛髪の寄付先だが、ヘアドネーションで検索すればいくつか出てくるが、私はウィッグの制作、提供までの工程や数値がわかりやすく掲載されていた「JHD&C」という団体に送付した。

JHD&Cのサイトと髪を送付後にダウンロードできるデジタル受領証

サイトを見る際はどのような工程で送付されているかなどが掲載されている団体を選ぶと寄付する側も安心できる。

各団体が提携している美容室もあるので、通っている美容室があるなら、美容師さんにヘアドネーションに対応しているか聞いてみるのもいいかもしれない。

参考までに以下団体は、18歳以下の子どもたちに無償でウィッグを提供している。

・JHD&C https://www.jhdac.org/

・NPO法人HERO HAIR DONATION PROJECT へアドネーションプロジェクト https://hairdonation.hero.or.jp/hair/

・つな髪 https://www.organic-cotton-wig-assoc.jp/14664921933134

なお、念のため、成人へ髪の毛を寄付できるものを探してみたが、医療用ウィッグを送るための費用を寄付として募っている団体やプロジェクトはあるが、髪の毛そのものを寄付できるものは見つからなかった。

今回はヘアドネーションを紹介したが、支援のカタチは色々ある。興味がある方はサイトを見てみてほしい。

なお、自分の髪の毛や家族の髪の毛でウィッグを作りたいという場合は以下の取り組みなども参考に。

・全国福祉理美容師養成協会

http://www.fukuribi.jp/blog/2017/12/-youwig-558090.html

長年連れ添ってきた髪の毛の旅立ち。なんだか切ったタイミングは感傷的にもなったけれど、今はどこを旅して誰のもとに辿り着くのかと思うとちょっとワクワクしている。

31cm以上髪を切る予定の方は一つの選択肢として知っておくといいのかもしれない。

ありがとう、相棒。元気でな。

せっかくなので最後に相棒(髪)とたくさん断髪写真を撮った。相棒凛々しい、かわいい…。/photo by tomohiko sakata

ヘアドネーションについてのアンケートもよかったら答えてください:)

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