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フェムテックの中でもユニークなサービスが多いセクシュアル・ウェルネス(性の健康)の分野。今、海外で盛り上がっているのが「オーディオ・エロティカ」といわれるものです。

オーディオ・エロティカとは、「耳で聴くポルノ」と言うとわかりやすいかもしれません。ストーリー仕立てで官能的な物語が聴けるものや、安全で心地いいセルフプレジャーに導いてくれる音声ガイドなど、多様な種類があるジャンルです。

ヨーロッパやアジアなど多様な国のサービスをご紹介します。

世界各地で注目の領域

フェムテックといえばアメリカ、イギリスの企業が多い傾向がありますが、セクシュアル・ウェルネス分野の「オーディオ・エロティカ」サービスはさまざまな国で盛り上がっています。

女性が起業して作られたサービスが多く、ジェンダーの多様性に配慮した内容になっているのが特徴的です。

セクシュアル・ウェルネスは気軽に話す機会がなくタブー視されがちですが、世界保健機関(WHO)もSexual health(性の健康)の項目では「楽しく安全な性的経験」は必要であると肯定しています

また、経済的な視点では、セクシュアル・ウェルネス市場は2027年までに全世界で416億米ドルの規模に成長すると予測されています。

スペイン・バルセロナの「Emjoy」

Emjoyは女性のセルフケア、エンパワーメント、性教育、エンターテイメントの要素を持つプラットフォームで、世界中で15万人のアクティブユーザーを有し、2020年には300万ドルの大型資金調達をしました。

CEO兼共同設立者のアンドレア氏は、女友達と「オーガズムギャップ」について会話していたことが会社設立の着想につながったと語っています

韓国の「blushh(블러시)」

韓国のblushh(블러시)は、ASMRのような声を楽しむオーディオストーリープラットフォーム。同級生やクラブで出会った男性など、シチュエーションドラマ仕立ての音声コンテンツが楽しめる内容になっています。

イギリスの「Ferly」

Ferlyは二人の女性が立ち上げた、マインドフルネスとセクシュアル・ウェルネスを掛け合わせたコンセプトのサービスです。創業者自身が性暴力サバイバーの当事者として女性が安心してセクシュアル・ウェルネスを感じ、回復できるものを目指していると語っています

https://www.instagram.com/p/CUR-GFGN723/?utm_source=ig_web_copy_link

スウェーデンの「OhCleo!」

OhCleo!は、130カ国以上で使われているスウェーデン発のアプリで、高音質を売りにしています。

https://www.instagram.com/p/CX8j0CphmnS/?utm_source=ig_web_copy_link

ドイツの「femtasy」

femtasyは、1500人以上の女性の意見を取り入れて設計され、20代後半の女性が立ち上げた注目のサービスです。

https://www.instagram.com/p/CXZBvFkM2Rw/?utm_source=ig_web_copy_link

女性ユーザーと相性がいい、オーディオ・エロティカ

俗説として「男性は視覚的な情報で性的刺激を得やすい」と言われています。

多くの刺激的な画像や動画が氾濫し、男性向けのポルノ雑誌やビデオは数十億ドル規模の巨大産業です。

その人自身の性的指向や、好きになる対象に期待するものは個別に異なり、一概に男女二元論で括りにくいものです。しかし、男性と女性の性的刺激に対する反応を研究した文献によると、視覚面に対する反応において男女で明確な差は見つからないようでした。

性的興奮をした際の生理的な現象を呼吸、性器反応の変化をもとに、身体反応を分析した研究では、女性のほうがポルノの出演者に自己投影する傾向があることや、前戯のある映像を高く評価する傾向がありました。だからこそ、主観的なストーリー仕立てで語りかけてくるオーディオ・エロティカは女性ユーザーと相性がいいのかもしれません。

オーディオのポルノは女性にとって安全か?

性的なコンテンツは需要が高いため、世の中に溢れていますが、性的搾取や性的同意が正しく行われたものかどうかわかりにくいものがほとんどです。「ポルノ」のコンテンツは、制作の構造上、女性が被害者側になりやすい傾向があり、安全ではない状態でつくられた作品を観ること自体が加害性を伴う懸念があります。

また無関係な人の顔をAIで合成するディープフェイクポルノ、リベンジポルノ、盗撮といった犯罪は巧妙化し、ポルノとして誰でもアクセスできる状態で流通しています。

最近は、映画やドラマで性的なシーンを撮影する際に、演じる俳優を守る演出方法・指導をする「インティマシー・コーディネーター」という専門家が存在しますが、「ポルノ」の分野でそのような取り組みを前面に出しているものはまだ少ないのが現状です。

女性向けの性的なコンテンツは世の中にありますが、望ましい在り方をオープンに語る場はあまりありません。社会の規範として、女性は性的な誘いやコンテンツを好きではないという態度をとったほうが不要なノイズに遭遇せずに済む、という言説が一般的になっている現状があります。

そのような社会規範があるなかで、女性の起業家たちが女性主体のオーディオ・エロティカを手がけることは、女性が安心・安全に性的なコンテンツを楽しめる前向きな潮流を作り出す動きとして期待ができます。

フェムテックとは?

Female(女性)× Technology(テクノロジー)をかけ合わせた造語で、生物学的女性の健康課題をテクノロジーで解決するヘルスケアのジャンルです。

「生理」「更年期」「婦人科系疾患」「不妊・妊よう性」「出産・育児」「セクシャルウェルネス」などのカテゴリがあり、それぞれの問題をタブー視せず、前向きに解決するためのサービスやアイテムが数多くあります。フェムテックの市場規模は、2025年には5兆円規模に成長するといわれています。

グローバル有力市場調査会社Market Research Future調べ

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