ランドリーボックスではこれまで主に女性の体の悩みや健康をテーマに情報を発信してきました。
セクシャルウェルネス(性の健康)においては、性別を問わず体のことを知る必要があります。私たちとともに学んでいきましょう。
今回は、「プライベートケアクリニック東京」東京院 院長で泌尿器科医の小堀善友(こぼりよしとも)先生に「早漏」の定義や治療法について教えてもらいました。
「早漏」とは
「早漏」とは、挿入後1分以内で射精してしまうことと定義されています。挿入から射精までの平均時間は5.4分という研究報告がありますが、1分以内に自分でコントロールできずに射精してしまう場合は早漏と言えます。
・挿入から射精までの時間が短い(1分以内)
・射精までのタイミングがコントロールできない
・早漏であることに関して苦痛を感じており、パートナーとのトラブルがある
早漏に悩む男性は多く、心理的負担から意図的にセックスを避けてしまう傾向にあります。クリニックでは、射精までの時間を3〜5倍に延ばすことを目標に、治療薬で治療します。
早漏は健康上の問題がとくにあるわけではなく、妊活においても問題はありません。お互いの性的満足感を高めたいということで、改善を求める方がほとんどです。
早漏の治療法① 射精のリハビリ
射精を自分でコントロールできるようになるためのリハビリとして「ストップ アンド スタート法」という方法があります。マスターベーションをする際に、すぐに射精しないようにする方法です。
射精をしてしまいそうになったときに手を止めて、落ち着いてから再び手を動かす。これを3回繰り返してから射精します。この方法は一人でできますので、ぜひ一度トレーニングしてみましょう。
早漏の治療法② 薬を用いた治療
海外では60カ国で承認されている、早漏の治療薬(プリリジーなど)が販売されていますが、日本国内では厚生労働省が正式に認めた薬は存在しません。そのため、私のクリニックでは保険適用外となりますが、早漏に効果があるとされる薬剤治療を行います。
射精は脳内のセロトニンと言う神経伝達物質が関係していることがわかっており、そこに作用するパキシル(SSRIといううつ病の薬)やトラマドール(痛み止めの1種)が効果的であることが報告されています。また、輸入したダポキセチンを処方しています。
ED治療薬
バイアグラ、シアリスといったED治療薬であるPDE5阻害薬を使用することにより、ペニス内の血流が増加し、 ペニスが膨張することにより表皮の神経に刺激が伝わりづらくなるため、挿入時間が延長する効果があることがわかっています。 ED治療薬は副作用も少なく、勃起障害にも早漏にも効果がある薬なので、使用をお勧めします。
「バイアグラは心臓に悪い」という印象をもっている方もいますが、最近の研究では心筋梗塞の予防作用があることが判明しており、実は体に良い薬なのです。
麻酔薬入りの軟膏やスプレー
局所麻酔の作用があるリドカイン入りの軟膏やスプレーを使って、感覚を麻痺させることにより、挿入時間が延長します。 副作用として、感度が低下する可能性があります。
塗り薬が通販サイトなどで販売されているため、このタイプから試してみて、改善がみられない場合にクリニックに訪れる人が多いです。
早漏の治療法③ カウンセリング
心理的要因を解消するだけでなく、パートナーとの理解を深め、最適な治療を確認するためにもカウンセリングをすすめます。
<監修>
小堀善友(こぼりよしとも)
泌尿器科医、生殖医療専門医、性機能学会専門医
プライベートケアクリニック東京東京院院長。男性不妊症・射精障害など、男性の性の健康に関する診療を担当。1975年生まれ。金沢大学医学部卒業。主な著書に『泌尿器科医が教えるオトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)『泌尿器科医が教える正しいマスターベーション』(インプレス)などがある。