梅毒は古くからある性感染症で、歴史上のさまざまな偉人も梅毒で亡くなったことが知られています。梅毒という名前の由来は、症状のひとつである身体全体に出る発疹がヤマモモ(楊梅)に似ているからだといわれています。今回は梅毒の症状や感染原因、治療や予防について説明します。

梅毒は性行為やオーラルセックスだけでなく、キスでも感染

梅毒とは、梅毒トレポネーマという病原菌が感染して起こる性感染症です。性行為やオーラルセックスなどで感染しますが、口に病変部がある場合はキスでも感染することがあります。

モノを介して感染することはないので、同じ食器を使う、入浴などの日常生活で感染することはありません。

抗菌薬の登場によって、日本での感染者数は減少していましたが、2013年ごろから徐々に感染者が増え、増加傾向にあります。とくに20代女性の感染が広がっています。

梅毒の症状と感染期間

梅毒の症状は、ほかの病気の症状と似ているため、検査なしでは診断が難しいとされています。初期症状は何日か経つと消えるため、治ったと勘違いすることも。

しかし、症状が出ていない期間でも病原菌は生きているため、治療しないとどんどん悪化していってしまいます。

梅毒は感染してからの期間によって症状が変化します。皮膚疾患からはじまり、重症化すると死に至る危険性もあるのです。

1.感染から数週間後

  • 陰部や口唇部、口腔内、肛門などに小さなしこりができる
  • 股の付け根のリンパが腫れる

痛みのない場合が多いため、こうした症状は見過ごしてしまいがちです。放っておくと症状は軽くなることが多いですが、病原菌は体内にいます。そのため、この期間にキスや性行為をすることで、他の人を感染させる可能性があります。

2.感染から数カ月後

  • 身体全体の赤茶色の盛り上がった発疹
  • 手のひらや足裏に赤茶色の発疹
  • 性器や肛門周辺にイボができる
  • のどの腫れ
  • 脱毛症状

これらの症状はアレルギーや風疹、麻疹などの症状に似ているため、診断が難しいです。発疹は数週間で消えることもありますが、治療していない場合は再発を繰り返すこともあります。

3.感染から数年後

現在は治療薬や検査技術が進んでいるため、ここまで進行することは少ないですが、感染を長期間放置しておくと以下のような症状が現れ、最悪の場合は死に至ることもあります。

  • 皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍
  • ひどい場合は心臓、血管、脳など複数の臓器に重い障害

梅毒の検査方法や治療内容

梅毒の検査は、血液検査によって梅毒に対する抗体があるかどうかを調べます。感染してすぐは検査をしても正確に結果がでません。感染した疑いがある時から1カ月後から検査ができるので、心配な方は検査を受けましょう。

梅毒と診断されたら、抗菌薬の内服もしくは点滴での投与を行います。治療が完了したら、完治しているかを検査で確認します。

完治の確認まではパートナーにうつす可能性があるので、キスや性行為などはしないようにしましょう。

梅毒の予防

梅毒は、性行為時のコンドーム着用で感染のリスクを下げられます。ただし、粘膜以外にも感染部位と皮膚との接触からも感染する恐れはあります。

そのため、コンドーム着用だけでは梅毒の感染を完全に予防できません。不特定多数の人との性行為や、梅毒が疑われる人との性行為(オーラルセックスも含む)を避けることが重要です。

梅毒は症状が出ても自然に軽くなっていくことが多いですが、そのまま放置しても病気は完治はしません。大切な人も自分も感染しないために正しくコンドームを使い、パートナーが変わったときや気になる症状が出てきたときは、性感染症の検査を行ってください。

監修者プロフィール

淀川キリスト教病院 産婦人科専門医

柴田綾子

2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。LINEボット「妊産婦さん向けの風邪薬ボット」も運営中。https://twitter.com/ayako700

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